第58回日本脈管学会総会 基礎研究部門で最優秀賞受賞!

日本脈管学会は脈管(大動脈、末梢動脈、静脈、リンパ管など)に関する、臨床系(心臓・血管外科、循環器内科、放射線科、形成外科、脳神経外科、臨床検査など)や基礎系(病理学、生理学など)での研究を行っている多くの研究者が、それぞれの領域を超えた横断的な議論を行う場として設立された伝統ある学術集会です。設立58年目の第58回総会は名古屋大学大学院医学系研究科血管外科学分野(古森公浩教授)主催にて平成29年10月19日から3日間にわたり開催されました。採択演題総数は500題を超え、その研究テーマも多方面にわたりそれぞれ活発な討論が繰り広げられました。

毎年総会ではJapanese College of Angiology Award (JCAA) が設けられており、独創的で将来性のある優秀な研究に対して、臨床系、基礎系からそれぞれ最優秀演題、優秀演題、計4演題が、公開審査のもとに選考されます。

今回、胸部心臓血管外科学講座(第二外科)の喜瀬勇也先生が基礎研究部門で最優秀賞を受賞しました。喜瀬先生らは、「胸腹部大動脈瘤手術時の術後脊髄虚血」という実臨床での最大の術後合併症となっている問題に基礎的・実験的な手法を用いて挑んでおり、その成果の一部を報告しました。胸腹部大動脈瘤手術時の動物モデルを作成し、脊髄灌流圧と脊髄血流量との相関を明らかにし、脊髄循環の生理的環境を保持するための至適体血圧を数値化することに成功しました。この内容を分かり易く、且つ研究内容を漏れなく報告し、活発な討議と、厳正なる審査の結果、基礎研究部門で最優秀賞を受賞しました。

審査員には心臓血管外科領域だけでなく、他方面の領域の第一人者も含まれており、これらの評価者からも研究内容について高く評価されたことは特筆すべき結果であります。それと同時に、多忙な日常診療の合間をぬって、臨床からの問題点を解決すべく基礎研究を行い、解決策を模索・探求する姿が大きく評価されたものと感じています。多くの事象が大都会中心となるなかで、地方大学である琉球大学から有意義で優れた研究が評価されたことは多くの同輩の励みになるものと考えています。