医学部医学科が医学教育分野別評価で適合認定されました

本学医学部医学科は、日本医学教育評価機構(以下JACME: Japan Accreditation Council for Medical Education)による自己点検評価報告書の精査並びに実地調査(2017年12月11日~12月15日)を受け、2018年11月1日に医学教育分野別評価基準に適合していることが認定されました。

医学教育分野別評価は、従来から行われていた大学の機関別評価の一環ではありません。医学教育に特化した評価事業で、一般社団法人であるJACMEが認証を行っています。これまでに、本学を含めて23の大学が認証されています。

日本での医学教育分野別評価の動きは、2010年9月、米国医師国家試験受験資格審査NGO団体(ECFMG: Educational Commission for Foreign Medical Graduates)から、「2023年以降は、国際基準で認定を受けた医学校の出身者にしか申請資格を認めない」と通告を受けたこと、いわゆる2023年問題に端を発しています。この通告を、「受験資格獲得のため」という捉え方ではなく、「医学のグローバル化に対応し、国際的に通用する医師養成制度を確立すべきとの警鐘」と受け止め、東京医科歯科大、東京大、千葉大などを中心に評価システムが構築されました。審査作業は2013年の新潟大学からスタートし、2015年、JACMEが正式に設立されました。2017年、JACMEが世界医学教育連盟(WFME: World Federation for Medical Education)の認証を受けたことにより、日本での認証が、国際基準となります。

従来の日本の教育は、「何を教えるか?」「何を実習で体験させるか?」というプロセス基盤型カリキュラムで構築されていました。しかしながら、国際基準では、予め明示した「卒業生が身に着けておくべき基準(コンピテンス)」を達成するための教育、すなわち、学修成果(アウトカム)基盤型教育が求められます。JACMEの評価においても、(領域2)学修成果が達成されるような教育プログラムが構築されているか?(領域3)成果が達成されたかどうか客観的に学生を評価しているか?(領域4・5・6)そのための、設備、教員などの資源は満たされているか?(領域7)教育プログラムが常に評価され、改善のための方策がとられているか?などが、審査されます。琉球大学では、2013年から学修成果基盤型教育に向けて、カリキュラムの改訂、評価法の実質化、実習のグローバル化などを進め、これら1つ1つの評価基準について自己点検を行い、報告書を作成するとともに、実地調査を受けました。

このたび本学医学部医学科が認証を受けたことにより、医学科の卒業生は、晴れて2023年以降も米国での研修が可能になります。そして、なにより、本学医学部医学科の教育が、国際基準に適合していることが認められたことになります。これから医学科を目指す高校生に対しても、誇れるものだと自負しております。

とはいえ、手放しでは喜ぶことはできません。多くの改善点が指摘されています。特に、評価(学生評価、プログラム評価)の点で、まだ緒に就いたばかりと厳しく評価されています。認定期間は2025年10月31日まで。認証評価は7年ごとに繰り返されます。良い点を維持するための不断の努力が必要です。指摘された点は改善が求められます。さらには、時代の流れの先を行く魅力的な取り組みを導入していかねばなりません。まだまだ、先は長い話。今後も、一層の充実・発展に努めます。(医学研究科 分子解剖学講座 高山教授 記)

 

 

(手前:左から)石田医学部長、筒井医学科長  
(奥:左から)高山教授、屋良准教授、山本教授、山城教授