新任教授のご紹介~大学院医学研究科ウイルス学講座 大野真治教授~

写真平成28年4月に医学研究科ウイルス学講座の教授に着任いたしました大野真治と申します。これまでは母校の九州大学で研究・教育を行っていましたが、琉球大学に活動の場を移すことにいたしました。

私たちの研究対象は講座名にあるとおり、人に病気を起こすウイルスです。一口にウイルスの研究といいましても、ウイルスがどの地域に侵入しているのかを調べる疫学研究、ウイルスの感染によってなぜ人が病気になるのかを追求する病因解析、ウイルス感染症の予防・治療につながるワクチン・薬剤開発と非常に多岐にわたります。テレビや新聞で見聞きしたことがあるかと思いますが、エボラウイルス、ジカウイルスと毎年のように耳慣れないウイルスの感染症が発生しています。これらの多くには有効な治療薬もワクチンもなく、早期の開発が望まれています。

私のこれまでの研究対象のひとつは、麻疹(はしか)の原因である麻疹ウイルスでした。沖縄県の先生方・行政の方々の「はしか“0”プロジェクト」を始め、全国的な麻疹ワクチン接種の取組みによって日本土着のウイルスが駆逐されたのは非常に喜ばしいことです。琉球大学ではもう一つの研究テーマである、ガンの原因にもなるガンマヘルペスウイルスに加えて、熱帯・亜熱帯気候で流行しているウイルスの研究もはじめていく予定です。はしかや撲滅に成功した天然痘の成功例を目標に、自分たちの研究を通してウイルス感染症で苦しんでいる人々を少しでも多く助けられるよう勤めてまいります。

医学部を目指す皆さん、医学部は直接患者さんに接して医療行為を行う医師の養成を主な目的としていますが、私たちのように研究を通して医療に貢献していく進路もあります。学部教育でもウイルス学の講義を担当しますので、皆さんに少しでも多くのウイルスの不思議について伝えていきたいと考えています。在学生の皆さんも、研究に興味のある人は気になる研究室を訪ねてみてはどうでしょうか。新しい未来像が見えてくるかもしれませんよ。