医学研究科形成外科学講座 清水雄介教授 手術器具「コウプライト」を考案

本学医学研究科形成外科学講座 清水雄介教授が、手術の際に創部を広げる「筋鈎(きんこう)」と呼ばれる器具を改良し、「コウプライト」を考案しました。

コウプライトは、従来使用していた筋鈎の先端がLEDで光る仕組みになっており、深い術野の奥まで十分に照らすことができるように設計されています。電池での使用が可能なため、電源の確保が困難な場所でも利用することができ、災害時やインフラが整っていない地域でも活用できるようになっています。

現在は国内150病院以上に導入されており、海外にも輸出が始まっています。清水教授は、「コウプライトが、インフラの整っていない発展途上国に普及し、手術がし易くなることで、一人でも多くの患者さんの助けになることを希望している。」と述べています。

筋鈎の先端が光る仕組みになっている「コウプライト」

喜瀬助教(胸部心臓血管外科学講座)が第59回日本脈管学会総会 基礎研究部門で2年連続の最優秀演題賞を受賞しました

日本脈管学会は脈管(大動脈、末梢動脈、静脈、リンパ管など)に関する、臨床医学(心臓・血管外科、循環器内科、放射線科、形成外科、脳神経外科、臨床検査科など)や基礎医学(病理学、生理学など)での研究を行っている多くの研究者が、それぞれの領域を超えた横断的な議論を行う場として設立された伝統ある学術集会で、毎年採択演題総数は500題を超え、その研究テーマも多方面にわたり活発な討論が繰り広げられています。

総会ではJapanese College of Angiology Award (JCAA) が設けられ、独創的で将来性のある優秀な研究に対し、臨床系、基礎系からそれぞれ最優秀演題、優秀演題、計4演題が公開審査のもとに選考されています。

胸部心臓血管外科学講座(第二外科)の喜瀬勇也助教は昨年度(第58回総会)に引き続き、本年度(第59回総会:会期10月25日~27日)のJCAA基礎研究部門でも最優秀賞を受賞しました。2年連続の受賞であります。

喜瀬助教らは以前より「胸腹部大動脈瘤手術時の脊髄虚血の機序解明およびその予防法の確立」を研究テーマに掲げ、難易度の高い心臓血管外科手術において重篤な術後合併症である本問題に基礎的・実験的な手法を用いて挑んでおり、その研究成果を国内外の学会や学術雑誌で報告しております。

昨年度は胸腹部大動脈瘤手術時の動物モデルを作成し、脊髄灌流圧と脊髄血流量との相関を示し、脊髄循環の生理的環境を保持するための至適体血圧を数値化し報告しました。

本年度は脊髄非虚血および虚血環境下において、ノルアドレナリン投与による脊髄血流増加のメカニズムについて仮説を立て、動物モデルを用いた独創的な方法でそれを証明しました。これまでノルアドレナリン投与は末梢血管収縮による臓器血流の低下(脊髄虚血)を助長する可能性が危惧されていましたが、本研究ではノルアドレナリン投与下の体血管抵抗(全臓器血管抵抗総和)と脊髄血管抵抗(局所臓器血管抵抗)の上昇率をそれぞれ算出し、回帰式を用いた検討から脊髄血管抵抗の上昇率が低いことを証明し、脊髄血流分配が増加する機序を明らかにしました。過去の研究論文で同様の仮説検証を示した報告はなく、その点が大きく評価されました。

審査員には心臓血管外科領域だけでなく、他方面の領域の第一人者も含まれ、これらの研究者からも研究内容について高い評価をいただいた事は特筆すべきことであります。

大城学長が松川宜野湾市長を訪問しました

第13回 Pan-Pacific Continence Society(国際学会)で久米島デジタルヘルスプロジェクトの成果発表を行いました

腎泌尿器外科学講座 准教授 宮里実先生が、2018/10/18~ 2018/10/20、台湾、花蓮で開催された第13回 Pan-Pacific Continence Society(国際学会)で、「Validation of a novel self-health monitoring system in urine in Kumejima Digital Health Project(久米島デジタルヘルスプロジェクトにおける初の尿を使ったセルフヘルスモニタリングシステムの検証)」というタイトルで研究成果の発表を行いました。本研究で検証されたs-HMSUはサイマックス社が開発した、世界初・既存のトイレに取り付け可能な全自動の排尿モニタリングシステムで、現在久米島町でデジタルデバイスを用いたPrecision Medicine 検証実験が行われており、その研究成果の一部が報告されました。

著者:Minoru Miyazato1, Koji Yonemoto2,3, Asuka Ashikari1, Seiichi Saito1, Kiyoto
           Yamashiro4,5, Moriyuki Uehara4,5, Hiroaki Masuzaki5, Hajime Ishida6,
           and Masayuki Matsushita7

1.Department of Urology, Graduate School of Medicine, University of the Ryukyus,
      Okinawa, Japan
  2.Advanced Medical Research Center, Faculty of Medicine, University of the Ryukyus
  3.Division of Global Environmental Health, School of Health Sciences, Faculty of
      Medicine, University of the Ryukyus
  4. Kumejima Public Hospital
  5.Division of Endocrinology, Diabetes and Metabolism, Hematology, Rheumatology
      (Second Department of Medicine)
  6. Department of Human Biology and Anatomy
  7. Department of Molecular and Cellular Physiology

 

芦刈先生(腎泌尿器外科)が、ヤングウロロジストリサーチコンテスト優秀賞を受賞しました

腎泌尿器外科 助教 芦刈明日香先生が、平成30年11月3日、長崎で開催された第70回西日本泌尿器学会総会のヤングウロロジストリサーチコンテストで、「Role of spinal µ-opioid receptors by tramadol on sneeze-induced urethral continence reflex in rats」というタイトルで研究成果の発表を行い(英語)、優秀賞に選ばれました。これは今回発表された11の演題から、3人の優秀な若手研究者の発表に送られる賞であり、本受賞は琉球大学初の快挙となります。

本研究は、40歳以上の女性の3人に一人が罹患する腹圧性尿失禁に対して有効な薬剤治療がない中、脊髄のオピオイド受容体の刺激が腹圧性尿失禁に有効であることを初めて解明した研究です。今後、創薬の開発へつながる大変貴重な報告です。

【保健学科】「フィリピンにおける公衆衛生早期体験プログラム」を実施し5名の学生を派遣しました

保健学科では公衆衛生の基礎を学ぶ早期体験プログラムとして、東南アジアの公衆衛生のリーデイング大学であるフィリピン大学公衆衛生学部を受け入れ機関として、5人の学生とヘルナンデス特命助教を9月2日から2週間フィリピンに派遣しました。

帰国後10月19日に報告会があり、参加しなかった学生から多くの質問がよせられました。あいにくマニラ市内の洪水等があり、学生交流やスラム訪問がキャンセルされましたが、学ぶこと多々あったようです。以下派遣学生の感想文です。

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私たち看護学生5人のメンバーは実際の低中所得国の公衆衛生を学ぶため、9月2日から2週間フィリピンへ派遣して頂きました。現在、フィリピンでは政府運営の病院や保健センターで基本的な医療が無料で提供されています。それを政府がどのように運営しているのか興味を抱き渡航しました。1週目は公衆衛生大学の講師陣から医療福祉システムについての講義を受け、その後のディスカッションを通して現地の人々が抱える医療問題を現場の声として聞くことができました。また現地視察はフィリピン保健省に始まりバランガイ(沖縄でいう字に近い単位)という小さな行政区分の保健センターまで段階的に体験しました。そのため日本とのシステム比較がしやすかったです。個人的に最も印象的だったのは政府運営の病院と任意保険で受診する私立病院との間で医療の質に大きな差が生じていることです。やはりどの国でも公正な分配は難しい課題であるのだと実感しました。さらに都市部における「公正なヘルスケアシステム」をテーマにしたIACSCという国際会議にも出席し、世界各国の研究者やリーダー達が知識を共有する場を学生ながら体験させて頂きました。

まだ帰国したばかりですが、マニラの活気ある街並みがすでに恋しくなっています。また研修中も親切で笑顔の素敵な医療スタッフさん達のお陰で非常に実りあるものとなりました。特に親身にサポートしてくださったファシリテーターのPM先生には感謝です。研修中は英語による報告書作成やプレゼンが当たり前のものとなり自信がつきました。これからもさらに学びの姿勢を深めていきたいと思います。ありがとうございました。

保健学科 2年 竹尾

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写真1 フィリピンでの楽しいひととき

 

 

 

写真2 マニラで開かれた公衆衛生の国際会議に参加

 

平成31年度大学院医学研究科(修士課程・博士課程)第2次募集のお知らせ

平成31年度大学院医学研究科(修士課程・博士課程)第2次募集のお知らせ

平成31年度大学院保健学研究科(博士後期課程) 第2次募集選抜のお知らせ

平成31年度大学院保健学研究科(博士後期課程) 第2次募集選抜のお知らせ

保健学研究科博士後期課程留学生が国際学会でベストプレゼンテーション賞を受賞しました。

保健学研究科博士後期課程のクリスタル・アミエル・エストラーダさんは、2018年9月12-14日にマレーシア・コタキナバルで開催された第50回アジア太平洋公衆衛生学会:Asia Pacific Academic Consortium for Public Health Conferenceにてベストオーラルプレゼンテーション賞を受賞しました。

本学会はアジア太平洋地域の公衆衛生校のネットワークで毎年行われるもので、公衆衛生学の国際学会として重要なものです。琉球大学大学院保健学研究科はメンバー校としての役割を果たしてきましたが、今回学生では初めての受賞となりました。数多くの演題から161が口演として採択され、その中で最も優秀な口演として選ばれました。

クリスタル・エストラーダさんはフィリピンからの留学生ですが、本学保健学研究科国際地域保健学教室で勉強をしながら母国に度々もどり、首都圏マニラでの学校教育から脱落した学生たちを受け入れているAlternative Leaning Systemで学ぶ学生たちを対象にメンタルヘルスの研究を実施しています。

今回はこの研究の一部を発表しましたが、演題名は“A qualitative study on the role of school psychosocial environment on the suicidal ideation and behaviors of Filipino adolescents enrolled in the Department of Education’s Alternative Learning System”であり、現在開発途上国でも注目が高まってきている精神保健・思春期保健の分野にいち早く取り組んだ研究です。また、学校に来ない子供達を対象にした研究で、多くが貧困層でスラムに居住しており、大変アクセスが難しいグループを取り扱っていることも評価できます。研究結果は今後学位論文としてまとめられるだけでなく、フィリピンの精神保健・思春期保健政策の実施に大きく寄与するエビデンスとなると期待されます。

今回の受賞を受け、本人のみならず琉球大学や協力機関のフィリピン大学からも称賛の声が多く聞かれ、両校の多くの大学院生・教員が大いに刺激を受けています。

写真1表彰楯を手にするクリスタル・アミエル・エストラーダさん

 

写真2ベストオーラルプレゼンテーション賞の授与式

平成30年度 琉球大学医学部実験動物慰霊祭が開催されました

平成30年9月20日(木)、16時から、琉球大学医学部獣魂碑前において、教職員、学生などが参列する中、平成30年度 琉球大学医学部実験動物慰霊祭が執り行われました。

本慰霊祭は、疾病の原因究明、治療法の開発、ワクチン・新薬の開発のため、医学・医療の発展に大いに寄与した動物たちの御霊に感謝の意を捧げるため、毎年、動物愛護週間の期間中に実施されております。

式典は、動物実験施設長 高山千利教授の慰霊の辞、医学部長 石田肇教授の挨拶のあと、参列者全員が祭壇に菊を献花し、実験動物の御霊に感謝の意をささげました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南洋理工大学(シンガポール)LKC医学部のLionel Lee副学部長らが琉球大学を訪問しました

2018年9月6日(木)に南洋理工大学(シンガポール)LKC医学部のLionel Lee副学部長一行が琉球大学を訪問しました。

琉球大学医学部と南洋理工大学は2017年9月7日に、部局間交流協定を締結しており、今回は、締結後初めての顔合わせになります。

まず、琉球大学大城肇学長が表敬訪問を受け、今後の交流について意見交換を行いました。

その後、医学部の石田肇学部長、岸本英博副学部長、大屋祐輔副病院長、山本秀幸教授、大野真治教授との懇談や、おきなわクリニカルシミュレーションセンターなどの施設見学や情報交換を行いました。

今後、学部学生・大学院生・研究者などのスタッフの交流・連携のさらなる関係強化が期待されます。

学長表敬訪問 (左からLuo Dahai南洋理工大学LKC医学部Assistant Professor,佐伯恭範 同Assistant Professor,Lionel Lee同副学部長,大城肇琉球大学長,石田肇琉球大学医学部長)

崎浜秀悟先生(細胞病理学講座)が、日本HTLV-1学会においてYoung Investigator Awardを受賞しました

平成30年8月31~9月2日に東京(一橋講堂)で開かれた第5回日本HTLV-1学会学術集会にて、細胞病理学講座の崎浜秀悟助教がYoung Investigator Awardを受賞しました。これは今回発表された76の演題から、4人の優秀な若手研究者の発表に送られる賞です。

講演題名は「沖縄県におけるaggressive ATLのHTLV-1 tax型別遺伝子プロファイルの比較」です。HTLV-1ウイルスは世界の中でも日本、特に南九州と沖縄において感染率の高いウイルスです。このウイルスに感染している人の約5%が、成人T細胞白血病(Adult T-cell leukemia, ATL)という難治性の白血病を発症します。その予後は極めて不良であり、一刻も早い病態の解明、治療法開発が望まれています。

崎浜助教と保健学科血液免疫検査学分野の福島卓也教授は、沖縄県におけるHTLV-1ウイルスの性質が、沖縄県以外の日本のものと異なることを以前の研究で見出しました。この結果をもとに、異なるウイルスがATLの腫瘍細胞の性質にどのような影響を及ぼすかを、最新のゲノム解析技術である次世代シークエンス法を用いて解析し、今回の発表に至りました。この研究で明らかになった点をベースにして、沖縄県におけるATL及び造血器腫瘍の病態の解明に向け、細胞病理学講座では今後もあらゆる角度からの解析を進めていきます。

コートジボワールにおけるブルーリ潰瘍の現状

現在、琉球大学の皮膚病態制御学教室では、ブルーリ潰瘍を主とした『顧みられない熱帯病(NTDs)』に対する医療分野国際科学技術共同研究開発推進事業(AMED)研究プロジェクトに参加しています。2018年7月下旬より、コートジボワールのブルーリ潰瘍についての現状を調査するために3週間滞在しました。

顧みられない熱帯病の一つであるブルーリ潰瘍は、Mycobacterium ulceransにより引き起こされ、時に直径数十センチに及ぶ皮膚潰瘍を形成する皮膚抗酸菌感染症です。WHOの報告では、年間5000例程度の新規症例があり、西アフリカはその好発地域であるとされています。コートジボワールは西アフリカの中でも特にブルーリ潰瘍症例の多い国です。アフリカにおける、ブルーリ潰瘍の好発年齢は5〜15歳であり、診断の遅れや不十分な治療により、患者は関節拘縮や醜形瘢痕などの後遺症や合併症に年余に渡り、苦しんでいます。

コートジボワールの小児ブルーリ潰瘍患者

3週間のコートジボワールでの視察、調査で、ブルーリ潰瘍に関する多くの問題点を目の当たりにし、そしてそれらの問題点を体現するような小児ブルーリ潰瘍患者との出会いがありました。その少年はコートジボワールの地方都市アゾペの医療施設に入院し、そこでブルーリ潰瘍の治療を受けていました。

医師や医療資源・施設が不足している現地の状況の中で、おそらく診断と治療開始の遅れにより、このように潰瘍が拡大してしまったと考えられます。今後適切な創傷治療やリハビリテーションを受けられなければ、おそらくは彼の右足の関節は拘縮してしまうことになるでしょう。すでに彼の右足はやせ細っていました。彼が入院していた施設では、スタッフの医学知識や医療設備は不足している部分が多く、施設に入院しているブルーリ潰瘍患者に対する治療の改善の余地は大きいと思われました。

ブルーリ潰瘍は、未だ感染経路は明らかでなく、簡易な診断方法がなく、抗菌薬療法についてもエビデンスレベルの高い研究はなされていません。我々の視察した農村部の診療所では、適切な創傷管理がなされていない印象を受けました。我々がコートジボワールで出会ったブルーリ潰瘍の少年のような子供たちを減らすためにも、感染経路の特定、早期診断方法の確立、効果的な抗菌薬療法、適切な創傷管理は必須であり、我々の参加するAMEDプロジェクトの課題でもあります。当科はこの中の創傷管理のパートを担当しています。コートジボワールの制限された状況の中で、実施・持続可能な創傷管理方法の提案や啓発をすることが我々の役目です。私は過去7年間、1年に2週間ほどの短期間ではありますが、ケニアの農村部での皮膚病診療に行った経験があり、それとともに琉球大学皮膚病態制御学教室での臨床、研究経験を生かして、このプロジェクトに携わりたいと考えています。

 

ガーナでのブルーリ潰瘍やハンセン病に対する医療介入の活動開始報告

皮膚病態制御学講座の大学院生の大嶺卓也と申します。ガーナでの皮膚科診療活動についてご紹介します。

私の所属する皮膚病態制御学講座では、本年より日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて、帝京大学、国立感染症研究所、杏林大学形成外科と共同で、西アフリカでの「顧みられない熱帯病」の調査・研究を開始しました。

「顧みられない熱帯病」とは、「人類の中で制圧しなければならない熱帯病」の中でも、先進国の対応が不十分な18の疾患をWHOが提唱し支援を求めている疾患群です。我々はブルーリ潰瘍という抗酸菌感染症に重点を置いて臨床協力しています。

今回開始時の派遣では、ガーナ政府やWHO、日本大使館やJICAなど行政側担当官との面談や、野口英世記念研究所やパスツール研究所との連携連絡とともに、医療者サイドである現地の実際のブルーリ潰瘍クリニック等を訪問し、実際の患者の診察を行い、ガーナでの現状の把握に努めました。

このブルーリ潰瘍は、抗酸菌の一種であるマイコバクテリウム・アルサランスによる感染症で、菌が産生するマイコラクトンという抗炎症性の毒素により、大きな皮膚潰瘍を生じます。治療には抗菌薬の長期投与に加えて、植皮手術を含めた総合的な創傷治療が必要となります。

都市部より離れた僻地の集落では、マンパワーや医療資源が限られており、定期的な通院が行えない患者さんも多くいました。我々のプロジェクトでは、このような現状において、現地で自立し、持続可能な安価な診断アルゴリズムの提唱、日本からの遠隔診療によるアドバイス可能なデバイスの開発とともに、最適化した治療プロトコールの提案やなどを求められており、今後の4年間の研究期間を見据えチーム内で議論しているところです。

当プロジェクト以外にも、琉球大学皮膚病態制御学講座では、琉球列島に特有な皮膚疾患や熱帯・亜熱帯地域に起因する皮膚疾患の診療や研究を多く行っております。

皮膚科医になった頃は、まさかこんなに沖縄の離島や世界中を飛び回る生活を送るとは思っていませんでした。

 

 

 

 

 

 

肺高血圧の成因の解明に成功:骨髄の一酸化窒素が関与(薬理学講座)

肺高血圧は、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が上昇して右心不全と早期死亡をきたす疾患です。肺高血圧の予後は癌全体の予後と同等かそれよりも悪く当該疾患の克服は喫緊の課題となっています。しかし、その成因は不明な点が多く、有効な治療法はほとんどないのが現状です。私達は、ヒトおよびマウスを用いた研究において、骨髄の一酸化窒素合成酵素(NOSs)系が肺高血圧において重要な保護的役割を果たしていることを見出しました。この結果は、骨髄NOSs系が肺高血圧における新しい治療標的であることを示唆しており、今後 私達の知見を踏まえて 肺高血圧に対する全く新しい治療法が開発されることが期待されます。本研究は、琉球大学、産業医科大学、長崎大学、および東北大学との共同研究です。論文は呼吸器分野のトップジャーナルであるAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌 (インパクトファクター 15.24)(2018年7月15日号)に掲載されました。

【論文タイトル】
  肺高血圧における骨髄一酸化窒素合成酵素系の保護的役割

【著者】
  生越貴明1),筒井正人(責任著者)2,城戸貴志1),坂梨まゆ子2),内藤圭祐1)
小田桂士1), 石本裕士1,3), 山田壮亮4),王克鏞5),豊平由美子6),和泉弘人7)
益崎裕章8),下川宏明9),柳原延章6), 矢寺和博1), 迎 寛1,3)

【所属】
  1)産業医科大学医学部呼吸器内科学
  2)琉球大学大学院医学研究科薬理学
  3)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学
  4)産業医科大学医学部第二病理学
  5)産業医科大学共同利用研究センター
  6)産業医科大学医学部薬理学
  7)産業医科大学産業生態科学研究所呼吸病態学
  8)琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座
  9)東北大学大学院医学系研究科循環器内科学

【研究の背景】
  肺高血圧は、心臓から肺に血液を送る肺動脈の血圧が上昇して右心不全と早期死亡をきたす疾患です。肺高血圧は、肺動脈が原因で生じるもの(第1群)、左心疾患によるもの(第2群)、呼吸器疾患/低酸素によるもの(第3群)、血栓によるもの(第4群)、および複合的要因によるもの(第5群)の5群に分類されます。第1群の肺動脈性肺高血圧は難病に指定されているまれな疾患ですが、5群すべてを含めると肺高血圧患者は世界に1億人いることが推定されており肺高血圧は患者数が多い病気です。深刻なことに、肺高血圧の予後は癌全体の予後と同等かそれよりも悪く、当該疾患の克服は喫緊の課題となっています。しかし、その成因が良く分かっていないために治療法の開発が遅々として進まず、有効な治療法はほとんどないのが現状です。

一酸化窒素(NO)はヒト生体内においてNO合成酵素(NOSs)から合成されるガス状生理活性物質です。NOSs系は3つの異なるアイソフォーム(nNOS、iNOS、eNOS)で構成されています。肺を含むほとんどすべての臓器や組織には3つのNOSsがすべて発現しています。過去に、肺高血圧におけるNOSs系の役割がNOSs阻害薬を用いて薬理学的に検討されてきましたが、NOSs阻害薬は様々な非特異的作用を有するために、肺高血圧におけるNOSs系の真の役割は未だ十分に明らかにされていません。また、過去に肺高血圧と骨髄異常に関連があることが報告されていますが、肺高血圧における骨髄NOSs系の役割は全く不明です。

【研究の目的】
  これらの背景を踏まえて、私達は、肺高血圧におけるNOSs系の役割、特に骨髄NOSs系の役割を、私達が独自に開発したtriple n/i/eNOSs欠損マウス(NOSs系完全欠損マウス)を用いて検討しました。

【研究の方法と結果】
  私達は最初に臨床研究を行いました。私達は特発性肺線維症患者においてドップラー心エコーで評価した肺動脈収縮期圧と気管支肺胞洗浄液中NOx濃度(肺のNO産生の指標)が逆相関をすることを見出しました(図1)。この結果は、第3群肺高血圧患者において肺のNO産生が低下していることを示唆する初めての知見です。この臨床の結果を踏まえて、私達は次にマウスを用いた基礎研究を行いました。

野生型、nNOS欠損、iNOS欠損、eNOS欠損、およびtriple NOSs欠損マウスに低酸素暴露を3週間行いました。低酸素暴露はすべてのマウスにおいて肺高血圧(右心室圧上昇、右心室肥大、および肺血管病変形成)を引き起こしましたが、その程度は野生型マウスに比してtriple NOSs欠損マウスで際立って顕著でした(図2,3)。低酸素暴露後のtriple NOSs欠損マウスでは、血中骨髄由来血管平滑筋前駆細胞数の増加を認めました。さらに、緑色蛍光蛋白質(GFP)発現マウスの骨髄を移植したtriple NOSs欠損マウスでは、低酸素暴露後の肺血管病変にGFP陽性細胞を認めました(図4)。重要なことに、野生型マウス骨髄の移植に比してtriple NOSs欠損マウス骨髄の移植は野生型マウスの肺高血圧を悪化させ、逆に、triple NOSs欠損マウス骨髄の移植に比して野生型マウス骨髄の移植はtriple NOSs欠損マウスの肺高血圧を改善させました(図5,6)。野生型マウス骨髄の移植に比してtriple NOSs欠損マウス骨髄の移植は野生型マウスの肺における69個の免疫関連遺伝子および49個の炎症関連遺伝子のmRNA発現レベルを増加させました。このことから、triple NOSs欠損マウス骨髄移植による肺高血圧の増悪には免疫や炎症を介した機序が関与していることが示唆されました(図7)。

【結論】
  本研究では、骨髄NOSs系がマウス低酸素性肺高血圧において重要な保護的役割を果たしていることを初めて明らかにしました(図8)。

【本研究の意義】
  私達は、肺高血圧の仕組みの一端を解明することが出来ました。本研究の結果は、骨髄NOSs系が肺高血圧における重要な治療標的であることを示唆しています。今後、この知見を踏まえて、肺高血圧に対する全く新しい治療法が開発されることが期待されます。

 

【責任著者連絡先】
  琉球大学大学院医学研究科薬理学
  教授  筒井  正人
  〒903-0215  沖縄県中頭郡西原町上原207番地
  Tel: 098-895-1133(直通)
  Fax: 098-895-1411
  E-mail: tsutsui@med.u-ryukyu.ac.jp

【謝辞】
  本研究は、科学研究費若手研究(B)(26860620)、科学研究費基盤研究(C)(16K09519)、沖縄県先端医療実用化推進事業研究費、文部科学省特別経費、および産業医科大学産業医学推進経費の支援を受けました。

新任教授のご紹介~医学部保健学科 国際環境保健学分野 米本孝二教授~

はじめまして。7月1日に保健学科国際環境保健学分野の教授を拝命しました米本と申します。教授就任のご挨拶として、簡単にこれまでの経験と今後の抱負を述べさせて頂きます。

私は2003年に九州大学大学院数理学府にて数理統計学の研究で数理学の博士号を取得後、九州大学が1961年から続けている疫学研究である久山町研究の研究員に採用いただきました。久山町研究室は教育システムがしっかりしており、私も最初は生物統計学や疫学について学ばせて頂き、その後、生物統計手法の研究、疫学研究、ゲノム疫学研究など幅広く経験させて頂きました。そして疫学研究の論文では、医学の博士号も頂きました。久山町研究は一般住民を対象とした観察研究であり、観察研究について非常に多くのことを学ばせていただきました。

2009年に久留米大学バイオ統計センターに異動し、そこではコンサルティングユニットの専任講師として、医学研究のコンサルティングを実施してまいりました。医学系の学会や大きな研究グループからの全国規模の調査の解析も担当しましたし、製薬会社からの依頼で、薬剤割り付けや独立モニタリング委員なども経験しました。もちろん、医学研究者からの統計相談も多数ありました。ここでは治験、臨床試験、臨床研究について多くの経験を積むことができました。

2017年3月に琉球大学医学部先端医学研究センターの特命教授に就任し、生物統計分野の分野長を拝命しました。沖縄バイオインフォメーションバンクや久米島デジタルヘルスプロジェクトに生物統計家として加わるとともに、生物統計・疫学公開講演会も実施してきました。

そしてこの度2018年7月1日付で、琉球大学医学部保健学科国際環境保健学分野の教授を拝命しました。今後も生物統計家として医学研究を支えていくとともに、教育者として優秀な研究者を育て、医学の進歩に貢献していけたらと思っています。何卒よろしくお願い申し上げます。

最先端技術を用いた古人骨全ゲノム解析から東南アジアと日本列島における人類集団の起源の詳細を解明

コペンハーゲン大学が中心となって進めている古代ゲノム研究の国際研究チームに、本学医学研究科人体解剖学講座を含む日本の考古学者、 人類学者、遺伝人類学者およびゲノム研究者などから構成される研究グループが参画し、日本列島の縄文時代遺跡や東南アジアから出土した人骨26個体のゲノム解析を実施し、今日の東南アジアで生活する人々の起源と過去の拡散過程を解明しました。今回、ゲノム解読がなされた縄文人骨は、愛知県田原市の伊川津貝塚遺跡から出土した約2千500年前の縄文晩期の女性人骨で、縄文人の全ゲノム配列を解読した例としては世界で初めての公表となります。この縄文人骨1個体の全ゲノム配列をもとに、現代の東アジア人、東南アジア人、8〜2千年前の東南アジア人など80を超える人類集団や世界各地の人類集団のゲノムの比較解析を実施した結果、現在のラオスに約8千年前にいた狩猟採集民の古人骨と日本列島にいた約2千500年前の一人の女性のゲノムがよく似ていることが分かりました。

このように、本研究は、縄文時代から現代まで日本列島人は大陸南部地域の人々と遺伝的に深いつながりがあることが、独立した複数の国際研究機関のクロスチェック分析によって科学的に実証された初めての研究として位置付けられます。これらの知見は、日本列島に居住していた各時代の人々の起源の解明に将来活用されるだけでなく、広く東アジア・東南アジアにおける人類集団の起源と拡散に関する研究に大きな寄与をもたらすことが期待されます。

本研究成果は、2018年7月6日に国際学術誌「Science」に掲載されました(DOI: 10.1126/science.aat3628)。

平成31年度 学生募集要項

平成31年度 大学院医学研究科

★平成31年度 学生募集要項(修士課程)

★平成31年度 学生募集要項(博士課程)

*詳細についての問い合わせ先*

  大学院医学研究科
    TEL:098-895-1032
    Mail:igznyusen@to.jim.u-ryukyu.ac.jp

 

 

平成31年度 大学院保健学研究科

★平成31年度 学生募集要項(博士前期課程)

  ★平成31年度 学生募集要項(博士後期課程)

【提出書類】
※学生募集要項を確認の上、以下の書類を提出願います。
※Excel又はWordで入力する場合は、ダウンロードして、入力・プリントアウト願います。

★入学志願票・履歴書・受験票・写真票・受験承諾書
(博士前期課程)Excel入力用
(博士後期課程)Excel入力用

★検定料振込書
(博士前期課程)Excel入力用
(博士後期課程)Excel入力用

★研究計画書・業績報告書・志願理由書・Letter of Recommendation
(博士前期課程)Word入力用
(博士後期課程)Word入力用

★入学試験出願資格認定申請書
(博士前期課程)Excel入力用
(博士後期課程)Excel入力用

★履歴書・志望理由書・論文一覧
(博士前期課程)Word入力用
(博士後期課程)Word入力用

★手書き用PDFデータ
(博士前期課程)
(博士後期課程)

 

*詳細についての問い合わせ先*

    大学院保健学研究科
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【8/23~27】琉球大学全学夏季一斉休業に伴う保健学研究科入学者選抜試験出願書類等の対応について【PDF】

平成31年度琉球大学医学部医学科第2年次特別編入学(学士入学)第2次選抜(最終)合格発表

平成31年度琉球大学医学部医学科第2年次特別編入学(学士入学)第2次選抜(最終)合格者告示

新任教授のご紹介~大学院医学研究科 法医学講座 二宮 賢司 教授~

皆さん、初めまして。平成30年4月1日から法医学講座教授に就任しました二宮賢司です。この記事の対象は本学医学部を目指す高校生ということですので、そのつもりで少し気楽に、就任に際してのご挨拶を書かせていただきます。

私は大学生になる際に福岡から沖縄に引っ越してきましたが、医学部という半ば職業訓練校の様な学部に入っておきながら、自分が将来どうなるのかあまり真面目に考えてはいませんでした。それから既に約18年が過ぎ、いまだに琉球大学にいます。概ね生まれた子が大学受験をするまでの年月ですね。我ながら驚いています。

さて、法医学関連の古い本を読んでいますと、法医学の知名度があまりに低く、方位学かと勘違いされたなどという笑い話が載っていますが、最近はなぜかドラマなどでたまに取り上げられ、ある程度認知されているのではないかと思います。それらの中で法医学やそれに携わる人間がどのように扱われているのか私は知りませんが、少なくともここ琉球大学で行われている法医実務はよく言えば堅実、有り体に言えば地味なものです。当講座では毎日のように解剖を実施していますが、その中のほんの一部がドラマになりそうなケースで、むしろ事件ではないこと、問題がないことを確認するのが我々の大きな仕事の一つであると言えます。しかしそういった、いわば「平凡な」ケースも勿論人一人を解剖するわけですし、なにがしかの理由があって解剖に至ったわけで、これに対しきちんとした回答を出すのは、その地域の死因究明を担うものとしての責務であると言えます。

上記をまとめると、琉大の法医学教室に入ると地味で面倒な仕事を延々とやらされる、と読解されてしまうでしょうか? 私自身は特に頑強でもなく強靭な意志力の持ち主でもないですが、大学卒業後も、大学院卒業後も琉大に自らの意思で残りました。法医学は中々面白い学問ですし、法医実務も興味深いものです。皆さんがもし法医学に興味がおありなら、あるいはもう少し広く、将来医学の道に進むおつもりなら、当講座のことも頭の片隅に入れておいていただければ幸いです。