新任教授のご紹介~大学院医学研究科 放射線診断治療学講座 西江 昭弘教授~


 はじめまして、2021年7月1日より大学院医学研究科 放射線診断治療学講座の教授を拝命しました、西江昭弘です。

皆さんは、放射線医療をどのように理解されているでしょうか? 放射線医療は大きく画像診断(単純X線、CT、MRI、核医学検査)、Interventional Radiology(血管造影や経皮的穿刺による治療)、放射線治療の3つの分野に分かれます。ほとんどの診療科の診断から治療に関わり、臨床医から相談を受けることも多いため、放射線科医は時にDr.’s Doctorとも呼ばれる診療を陰から支えるサポーター的存在と言えます。しかし、中には放射線科内で診断から治療まで完結する患者さんもおられ、また緊急血管造影で救命に携わったり、手術の困難ながん患者さんに放射線治療を行ったりなど、第一線での役割もあります。幅広い知識や思考、技術の習得が求められますが、やりがいも非常に大きく、また、画像診断、放射線治療機器の開発は日進月歩の勢いで進んでおり、決して飽きることがありません。
 琉球大学でもその進歩に並行するように、基礎的、技術的、臨床的な側面から多岐に渡った最先端の研究を行っており、当教室オリジナルの教育システム、各科とのカンファレンスや直接指導を通じて、診療・研究・教育が三位一体となった放射線医療を実践しています。

当教室は、常日頃から互いを気遣い、助け合えるアットホームな教室です。その強みを大事にしながら、診療・研究・教育上の問題点を積極的に抽出し自ら解決していける教室づくりを心掛けていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

保健学科 當山紀子講師が自治体での新型コロナウイルスワクチン接種業務を支援

令和3年7月13日(火)、新型コロナウイルス感染症対策における予防接種業務のため、西原町保健センターで医学部保健学科地域看護学分野の當山紀子講師が保健師として支援を行いました。

沖縄県では昨年7月下旬から新型コロナウイルス感染症の感染が拡大し、現在は緊急事態宣言が延長されています。新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすという新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の目的に照らし、全自治体において、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種体制の構築が進められていますが、ワクチン接種業務を期間限定で担う看護師等の確保が課題の一つとなっていました。そこで、厚生労働省から全国保健師教育機関協議会や日本看護系大学協議会などに「新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種への支援について」協力依頼が通知されました。看護師、保健師として勤務経験のある當山紀子講師は、西原町保健センターにおける予防接種業務支援へ赴きました。

當山紀子講師は、予防接種会場にて、薬液の充填等のワクチン接種準備と高齢者、高齢者施設等の従事者、保育士等を対象に100名程のワクチン接種を担当しました。今後益々ワクチン接種が普及し、新型コロナウイルス感染症が早期に収束することが期待されます。
 

ワクチン接種会場にて(保健学科地域看護学分野 當山紀子講師)

 

新任教授のご紹介~大学院医学研究科 救急医学講座 梅村 武寛教授~


 皆さま、はじめまして。2021年4月1日より琉球大学救急医学講座教授を務めています梅村武寛です。

皆さまは、救急医学と聞いてどのような事を考えますか。以下に私の経歴を記し、自分の考えを述べてみようと思います。

私は、1995年に熊本大学医学部を卒業後、同大学の整形外科教室で医師の一歩を踏み出しました。その研修中に整形外科の最若手医師であることから四肢・脊椎外傷の初期対応から手術までを行うことはもちろんですが、多発外傷の診療時では各診療科(脳外科、外科等)の手術助手を務めたり、産科の緊急帝王切開の助手を務めたり、はたまた急性冠症候群(心筋梗塞)で循環器内科の助手をしたり、様々な経験をしてきました。当時、確固たる自分の将来を描いていたわけではなく、ただただ目の前の患者さんに全力で対峙するのみでした。いったい自分がどのような医師になるべきなのかを自問した際に、外傷に限らず重篤な患者さんを目の前で失わない様にしたい、全身管理と生命維持を確実に行えるようになりたい、そう考えて2002年から福岡大学病院救命救急センターで救急医としての研修を始めました。救急医として重症多発外傷の整形外科的手術を行い、その全身管理を学びながら救急・集中治療領域の研鑽を積みました。病院前救護教育(救急救命士養成校の講師)や、災害医療(東日本大震災など)に関わりだしたのもこの時です。2014年には沖縄に赴任し、前任地の救命救急センターで沖縄県内と県外式の各々の特徴を取り入れた救急医療体制を構築しました。昨今の新型コロナ感染症対策では、県庁内で行政や警察・消防・海上保安庁・自衛隊と協働してきました。

以上の様に救急医学は、医学の各領域だけにとどまらず、医療外の領域とも協働し、多種多様な考え方、行動が求められることが特徴だと考えます。また社会との関わりが多く、医療だけに限らない様々な物事を俯瞰的にとらえることが求められる分野でもあります。

皆さまが当大学で学び、ここ沖縄県全体を俯瞰的に眺めることができる救急医を育成することをこれからの目標とし頑張ります。どうぞよろしくお願いいたします。

令和5年度入学者選抜に係る外部英語検定試験の取扱いの変更について(予告)

令和5年度入学者選抜に係る外部英語検定試験の取扱いの変更について(予告)

令和4年度 大学院医学研究科 学生募集要項

令和4年度 大学院医学研究科の学生募集要項を更新しました。

令和4年度 学生募集要項

令和4年度 大学院保健学研究科 学生募集要項

令和4年度 大学院保健学研究科の学生募集要項を更新しました。

令和4年度 学生募集要項

【研究成果】「代謝産物がRNAのメチル化を介して代謝酵素の量をフィードバック制御する」 ―代謝酵素の量を一定に保つ遺伝子発現の新しい制御機構―

医学研究科生化学講座 黒柳秀人教授が、東京医科歯科大学在籍時に行った研究について、国際科学誌 The EMBO Journal に、2021年6月21日正午(中央ヨーロッパ夏時間)にオンライン版で発表されました。

この研究は日本学術振興会科学研究費補助金(基盤研究および新学術領域研究「先進ゲノム支援」・「RNA タクソノミ」・「代謝統合オミクス」)の支援のもとで行われたものです。
 

詳細はこちら【東京医科歯科大学公式ホームページ】

 

<発表雑誌>
雑誌名:The EMBO Journal
論文タイトル︓m6A-mediated alternative splicing coupled with nonsense-mediated mRNA decay regulates SAM synthetase homeostasis
DOI番号︓10.15252/embj.2020106434
URL:https://www.embopress.org/doi/abs/10.15252/embj.2020106434

東京医科歯科大学公式HP

【研究成果】共同研究による解明「もやもや病のリスク遺伝子RNF213の遺伝的特徴と拡散経路の推定」

もやもや病は東アジアの人類集団で有病率が高い脳血管障害である。この疾患にはRNF213遺伝子にあるリスク変異R4810Kが存在し、このリスク変異は東アジアでのみ観察される。日本では約9割の患者がこのリスク変異を持つという共通性がある一方で、その症状は多様である。

東京大学大学院理学系研究科の太田博樹教授と小金渕佳江助教(前琉球大学医学部先端医学研究センター特命助教)を中心とする共同チーム(北里大学、琉球大学、佐賀大学、統計数理研究所)は、もやもや病患者のRNF213遺伝子の配列をもとに集団遺伝学解析を行った。

その結果、リスク変異を持つRNF213遺伝子が互いにほぼ同じ配列で、このリスク変異が比較的最近、東アジアで誕生し、リスク変異は先史時代に東アジアの大陸部で誕生し、おそらく縄文時代晩期頃(約3千年前)に起こった渡来(大陸から列島への移住)に伴って列島内に広がったと示唆された。

もやもや病の症状の多様性が高いにもかかわらず、患者のRNF213配列が均質であったことは、症状の多様性が環境要因の影響によることを示唆する。またこのリスク変異の分布は人類の移住史と関連する。このような集団遺伝学的分析は、もやもや病の病態の理解に貢献する。

本研究は、文部科学省及び日本学術振興会の研究助成補助金、24370099、17H03738、17H05132、19H04526、19H05350(研究代表者:太田博樹)、16H06408(研究代表者:石田肇)(琉球大学大学院医学研究科人体解剖学講座教授)、24300109(研究代表者:間野修平)の支援を受けて行われた。
 

詳細はこちら【本学公式ホームページ】

 

<発表雑誌>
雑誌名:Annals of Human Genetics
論文タイトル︓An analysis of the demographic history of the risk allele R4810K in RNF213 of moyamoya disease
著者名︓Kae Koganebuchi, Kimitoshi Sato, Kiyotaka Fujii, Toshihiro Kumabe, Kuniaki Haneji, Takashi Toma, Hajime Ishida, Keiichiro Joh, Hidenobu Soejima, Shuhei Mano,Motoyuki Ogawa, Hiroki Oota*
DOI番号︓10.1111/ahg.12424
URL:https://doi.org/10.1111/ahg.12424

東京大学大学院理学系研究科・理学部HP

大学院医学研究科 ウイルス学講座斉藤美加助教が、第8回ゼロマラリア賞を受賞

医学研究科 ウイルス学講座斉藤美加助教が、第8回ゼロマラリア賞を受賞し、令和3年5月10日、本学で授与式を行いました。

この賞はNPO法人 マラリア・ノーモア・ジャパンが「2030年までにゼロマラリアを達成する」という国際社会の目標に寄与する活動に取り組む、あらゆる分野の個人、団体を対象に毎年世界マラリアの日に贈られる賞です。第3回では本学保健学科の小林潤教授も同賞を受賞しています。

斉藤美加助教は、「沖縄のマラリア等蚊媒介性感染症対策の伝承およびシチズンサイエンス実践研究」での受賞となりました。沖縄での蚊媒介性感染症の疫学研究を長年行い、最近では、沖縄の感染症対策の歴史特に八重山のマラリア対策史について研究、発信を精力的に行なっています。また、住民参加による蚊媒介性感染症の評価と安全安心な地域づくりの実践研究が総合的に評価されました。

受賞にあたり、斉藤美加助教は「この度、このような栄誉ある賞を賜り、身にあまる光栄です。これまでの研究にご協力・ご支援いただきました皆様に、心より感謝申し上げます。賞を励みに、今後も、疫学研究や実践研究を通して、蚊媒介性感染症のない地域づくりや社会実装に取り組み、また、沖縄の先人たちの感染症との戦いをもっと多くの方に伝えていこうと思います。」

NPO法人 マラリア・ノーモア・ジャパン 長島美紀理事からは「斉藤美加助教の、これまでの沖縄の蚊媒介性感染症である八重山のマラリア対策の歴史の再評価の取り組みとシチズンサイエンス実践による実証を高く評価しました。今後も引き続き、マラリア排除促進に尽力されることを期待します。」と今回の受賞者選出について語られました。

本学西田睦学長より「沖縄の戦後の歴史からの教訓「命どう宝」の考えを、八重山のマラリアの歴史を通し、今の新型コロナ感染症対策に生かすべく、次世代へ、そして世界へと発信する社会的意義は大きいと思います。これからも、あらたな価値の創造へとの挑戦を続けていってほしいと思います。」と労いの言葉が述べられました。

多言語版ストーリーマップ「八重山のマラリア史」は2021年4月25日に公開しております。

 

斉藤美加助教 コメント全文
「この度、2021年4月25日世界マラリアデーに、酪農学園大学との共同研究により、多言語版ストーリーマップ 八重山のマラリア史(Forgotten history of Infectious diseases in Yaeyama area)」を公開します。これは、2019年に公開した日本語版八重山のマラリア史を多言語:英語、中国語、スペイン語に翻訳し、改訂を加えたものです。
Covid-19パンデミックに象徴されるように、21世紀は感染症の時代に入っていることを覚悟していかなければなりません。過去の感染症との闘いの歴史の再評価が、これほど求められていることはありません。沖縄の戦後の歴史は感染症との闘いの歴史といっても過言ではなく、特に、八重山にはもう一つの戦争と言われる戦争マラリアの災禍とマラリアを克服した世界に誇れる歴史があります。
多言語版にしたことで、世界の多くの人の目に留まり、八重山地方のマラリアの歴史を知ってもらい、過去の苦難の八重山のような環境下で、今なおマラリアに苦しむ国々にマラリアや感染症のない国づくり、地域づくりへの勇気を持っていただき、SDGsの目標の一つであるゼロマラリアへの一助になることを目指しています。
来年、八重山はマラリア撲滅 (排除) 60周年を迎えます。しかし、世界的に八重山のマラリア排除は認定されていません。今こそ、八重山マラリア撲滅60周年を記念することでその偉業を讃え、お祝いする機運を高めていければと祈っています。」

 

ストーリーマップはこちらからご覧いただけます。

 

(左から)保健学科小林潤教授、NPO法人マラリア・ノーモア・ジャパン長島美紀理事
ウイルス学講座斉藤美加助教、西田睦学長

 

授与式の様子

新任教授のご紹介~大学院医学研究科 生化学講座 黒柳 秀人教授~


 みなさま、こんにちは。2021年4月1日付で生化学講座の担当になりました黒柳秀人(くろやなぎ ひでひと)です。

私は愛知県の地方都市の出身です。山や田んぼに囲まれた数軒の集落で育ち、へき地の公立小学校、中学校を経て、片道1時間半をかけて公立高校に通っていました。世の中にどういう職業があるのか、自分がどういう仕事に向いているのか分からず、文系も含めすべての学部学科に進学可能な東京大学の理科二類に進みました。そこで出会ったのが、今日まで研究を続けている分子生物学です。

医学科を目指している多くの高校生のみなさんがそうであるように、私も高校では物理と化学を選択肢ました。高校で習った生物に出てくるものといえば、肉眼や顕微鏡で観察したものか目に見えない酵素の類い、いわゆる博物学だと思っていました。しかし、今日の大学で研究する最先端の生物学は、さまざまな原理に基づく機器を駆使し、遺伝情報を操ることで、生命現象を担う分子の形を明らかにし、物理学と化学と統計学の原理で説明しようとする、精巧な実験科学なのです。

生命現象を普遍の原理で説明する、そういう共通の目標があるからこそ、個々の研究者は誰もが納得のいく証明を目指します。そして、その一番の動機は、自分自身が納得できる答えを自分の手で見つけたい、ということなのです。

大学には、万人の疑問に答える研究をする好機が待っています。医師を目指す人も生命科学を志す人も、生命科学が何だかまだ分からない人も、ここにはみなさんの好奇心をかき立てる環境があります。先入観にとらわれず、さまざまなものに反応するアンテナを磨きながら、大学を目指して欲しいと思います。そして、私達の世代には思いもよらない新しい発想をもったみなさんと一緒に研究できる日が来ることを楽しみにしています。

【研究成果】病原細菌が臓器を壊して感染する仕組みを解明~レプトスピラ症の新しい予防・治療法開発に期待~

琉球大学のトーマ・クラウディア准教授・大倉信彦助教、東北大学の中村修一助教、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のブルーノ・ホンベル博士らの研究チームによる成果が、2021年4月16日に英国の学術雑誌「Cellular Microbiology」誌のオンライン版で公開されました。

詳細はこちら【本学公式ホームページ】

細胞に付着するレプトスピラ.
当該論文Sebastián et al., Cellular Microbiology, 2021より改編

 
<発表のポイント>
 ・レプトスピラ症を引き起こす細菌、レプトスピラは、川のレジャーなどで皮膚や粘膜から血流に入り、標的臓器へと広がりますが、そのメカニズムは不明でした。
 ・感染が起こる臓器では、隣り合う細胞どうしが「細胞をシールする装置」によって密着することで臓器の構造と感染阻止を含む生理機能が維持されています。
 ・本研究グループは、感染が起こるときに、レプトスピラが細胞をシールする装置を壊すことを明らかにし、さらにその破壊を阻止することに成功しました。
 ・レプトスピラによる臓器破壊の仕組みを解明したことから、新規治療薬開発への応用が期待できます。

 
 
<論⽂情報>
タイトル︓Disassembly of the apical junctional complex during the transmigration of Leptospira interrogans across polarized renal proximal tubule epithelial cells
(和訳)病原性レプトスピラによる近位尿細管上皮細胞の細胞間接着装置の破壊戦略の解明
著者名︓ Isabel Sebastián1, Nobuhiko Okura1, Bruno M. Humbel2, Jun Xu1,3, Idam Hermawan1, Chiaki Matsuura1, Malgorzata Hall2, Chitoshi Takayama1, Tetsu Yamashiro1, Shuichi Nakamura3 and Claudia Toma1*
* Corresponding author
1 琉球大学大学院医学研究科、2 沖縄科学技術大学院大学、3 東北大学
雑誌名: Cellular Microbiology
DOI番号︓10.1111/cmi.13343
URL:https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/cmi.13343

医学部長 就任の挨拶

4 月1 日付けで医学部長・医学研究科長を拝命いたしました、筒井正人でございます。就任にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

1. 医学部・医学研究科・病院の移転計画の推進

現在、医学部・医学研究科と病院は、4年後の2025(令和7)年の宜野湾市西普天間地区への移転に向けて、その準備が進められています。病院は建設工事が始まっており、医学部・医学研究科においては施設のヒアリングが進行中で、設計と施工の受注者が8月に決定する予定です。また、これまで病院と一体でCOVID-19 に対応してきた経験をふまえ、医学部・医学研究科においても、密を避けられる広い講義室や学生・職員食堂を検討していただきたいと思っております。皆様の様々な要望を丁寧にくみ上げて、皆様が納得できる施設ができるように尽力いたします。

 

2. 連携強化による保健学科と医学研究科の発展

保健学科と医学研究科の連携の強化は、両者の教育・研究の活性化に資すると思います。今年度から保健学研究科・保健学科の講義を医学研究科と共同で実施することにしました。医学研究科・医学科の講義を保健学科と共同で実施することも計画しています。各種委員会活動については保健学科で負担が大きい場合は医学研究科が担当します。また、西普天間では保健学科の実験室の確保のため機器センターの有効利用を検討いたします。西普天間では保健学科と医学研究科が同じ研究棟で仕事をすることになり物理的にも連携が深まります。その布石として着実に連携を強化していきたいと思います。

 

3. 医学研究科・保健学科の教育の充実

教育面においては、COVID-19 の収束が見込めない中、遠隔による講義が学生の修学や心身に与える影響が危惧されます。その対策として、4月から対面あるいは対面とWEBのハイブリッドの講義を行います。さらに、指導教員、各種委員会、医学教育企画室の活動を中心として一層の学生支援をいたします。今年の国家試験の成績は、保健学科、医学科ともに良かったです。保健学科は、看護師、保健師、助産師の合格率がいずれも100%でした。医学科も、新卒と既卒をあわせて133名が受験し不合格者は6名だけで(合格率95.5%)、全国80大学中19位で、過去10年間で最も良い成績でした。これらの結果は本学部の教育が優れていることを示唆していると思います。

 

4. 医学研究科・保健学科の研究の活性化

研究においては外部資金の獲得が必要不可欠です。そのために、各省庁、沖縄県、大学本部、企業等に頻繁に出向いて交渉し情報を入手したいと思います。臨床系の社会人大学院生は、仕事が忙しく、研究費も十分ではないため、研究がなかなか進まない状況にあります。その支援のため、4月から実験実習機器センターにおいてダイレクトシークエンスやゲノム解析などの研究支援を開始します。今後、研究支援体制をさらに拡充・強化していきます。2016(平成28)年に設立された先端医学研究センターは、令和4年度から始まる第4期中期目標・中期計画期間も引き続き発展するように、そして、全学的・恒久的な組織になるように取り組んでまいります。

 

5. 病院と一体となった医学部・医学研究科の発展

病院は1年前に医学部から独立した組織になりました。それを受けて医学部長の役割は変化し、病院と協調して医学部の管理運営を担うことになりました。そのため、 医学科長の皮膚科学講座 高橋健造教授および副医学部長の消化器・腫瘍外科学講座 高槻光寿教授には、臨床系講座の教授として病院との連携にも力を発揮していただきます。病院との協調性を大切にして医学部・医学研究科・病院が一体となって発展するように尽力して参ります。

 

最後に、『将来に希望を持てる、魅力ある医学部・医学研究科・病院』になるよう誠心誠意努力することをお約束し、私のご挨拶とさせていただきます。

2021年4月1日

琉球大学医学部長・大学院医学研究科長
筒井 正人

【研究成果】グッピーは繁殖戦術によって配偶者認識の正確さを変える

琉球大学医学研究科の藤本真悟特命研究員、戦略的研究プロジェクトセンターの鶴井香織特命助教、農学部の辻瑞樹教授らの研究チームによる成果が国際的な学術雑誌「Ecology and Evolution」誌に掲載されます。

詳細はこちら【本学公式ホームページ】

<発表のポイント>
 ◆成果:「雄間の配偶者を巡る競争が同種雌/異種雌を見分ける能力の正確さを様々に進化させる」という予測を行動実験で実証しました。

◆新規性(何が新しいのか):グッピーの雄は、求愛と強制交尾という2種類の繁殖行動を使い分けますが、繁殖行動にかかるコスト(エネルギー・命の危険等)が大きいほど、正確に同種雌/異種雌を区別することを明らかにしました。

◆社会的意義/将来の展望:動物が何故、どのように種を識別するのかを理解することに役立ちます。また「異種への配偶行動」は種が絶滅する原因の1つとも言われており、本研究の成果は生物多様性保全にも貢献します。

 

<論⽂情報>
タイトル︓Alternative reproductive tactics in male freshwater fish influence the accuracy of species recognition
(和訳)グッピーのオスでは代替繁殖戦術によって種認識の正確さが異なる
雑誌名:Ecology and Evolution
著者名︓藤本真悟 1,4 * 鶴井香織1 * 勝部尚隆2 立田晴記2,3 辻和希(瑞樹)2, 3
 * Corresponding author
 1 琉球大学戦略的研究プロジェクトセンター
 2 琉球大学農学部/琉球大学大学院農学研究科
 3 鹿児島大学連合大学院連合農学研究科
 4 琉球大学医学研究科人体解剖学講座(現職)
DOI︓10.1002/ece3.7267
アブストラクトURL:10.1002/ece3.7267

保健学科 国際地域保健学分野の野中大輔准教授が第3回竹内勤記念国際賞を受賞

2021年3月15日、野中大輔准教授(保健学科国際地域保健学)は、公益財団法人大山健康財団による第3回竹内勤記念国際賞を受賞しました。

詳細はこちら【公益財団法人大山健康財団ホームページ】

この賞は、橋本イニシアチブの学術顧問として我が国の国際寄生虫対策を先導された故竹内勤教授(慶應義塾大学医学部元教授、長崎大学熱帯医学研究所元所長)の偉業を引継ぎ発展することが期待される研究者等に授与される賞です。野中大輔准教授は、橋本イニシアチブの下で進められた寄生虫対策プロジェクトに、青年海外協力隊やJICA短期専門家として参加しました。加えて、マラリアに関する予防・受療行動、健康教育等の研究を行ってきました。

研究論文は、世界保健機関の文書に引用され、東南アジアにおけるマラリア対策政策の策定に貢献しました。野中大輔准教授は現在、保健学研究科の沖縄グローバルヘルスサイエンスコースを通して、アジア・アフリカからの留学生に対する研究指導も行っています。これらの業績によって、賞が授与されました。

 

授賞式の様子

<中央:野中 大輔准教授>

【研究成果】糖尿病網膜症発症に関わるゲノム領域を同定 ~新たな予防法・治療薬開発の足がかりに~

琉球⼤学⼤学院医学研究科先進ゲノム検査医学講座の前⽥⼠郎教授、今村美菜⼦准教授、理化学研究所(理研)⽣命医科学研究センター糖尿病・代謝ゲノム疾患研究チームの堀越桃⼦チームリーダー、東京⼤学医学部附属病院の⼭内敏正教授、東京⼤学の⾨脇孝名誉教授(⻁の⾨病院院⻑)らの共同研究グループは、⽇本⼈の2型糖尿病患者を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)を⾏い、「糖尿病網膜症」の発症に関わる⼆つの疾患感受性ゲノム領域を新たに同定しました。
 本研究成果は、糖尿病網膜症の新しい予防法や治療薬の開発につながると期待できます。

詳細はこちら【本学公式ホームページ】

<概要>
 糖尿病の合併症の⼀つである糖尿病網膜症の発症には遺伝要因が関与していることが知られていますが、どのような遺伝因⼦が関与するかはよく分かっていませんでした。
 今回、共同研究グループは、⽇本⼈2型糖尿病患者1万1097⼈のゲノムを⽤いて⼀塩基多型 (SNP)を網羅的に解析し、別の⽇本⼈2型糖尿病患者2,983⼈のゲノムを⽤いた検証解析を経て、糖尿病網膜症の疾患感受性に関連する⼆つのゲノム領域(STT3B、PALM2)を同定しました。この解析は、糖尿病網膜症のGWASとしては世界最⼤規模となります。また、SNPと疾患との関連を遺伝⼦単位で解析した結果、EHD3遺伝⼦と糖尿病網膜症との関連も明らかになりました。
 本研究は、科学雑誌『Human Molecular Genetics』オンライン版(2⽉19⽇付)に掲載されました。

<論⽂情報>
タイトル︓Genome-Wide Association Studies Identify Two Novel Loci Conferring Susceptibility to Diabetic Retinopathy in Japanese Patients with Type 2 Diabetes
著者名︓Minako Imamura, Atsushi Takahashi, Masatoshi Matsunami, Momoko Horikoshi, Minoru Iwata, Shin-ichi Araki, Masao Toyoda, Gayatri Susarla, Jeeyun Ahn, Kyu Hyung Park, Jinwha Kong, Sanghoon Moon, Lucia Sobrin on behalf of the international Diabetic Retinopathy and Genetics CONsortium (iDRAGON), Toshimasa Yamauchi, Kazuyuki Tobe, Hiroshi Maegawa, Takashi Kadowaki, Shiro Maeda
雑誌︓Human Molecular Genetics
DOI︓10.1093/hmg/ddab044

【研究成果】歯根の形態にEDAR遺伝子のアジア人特有タイプが関わることを明らかに ~歯根の形態形成の分子メカニズムを解明する鍵に~

琉球大学病院の片岡恵一助教、琉球大学大学院医学研究科の木村亮介准教授、石田肇教授、自然科学研究機構の藤田浩徳助教らの研究グループによる研究成果が、オープンアクセスの学際的電子ジャーナル「Scientific Reports」誌に掲載されます。

詳細はこちら【本学公式ホームページ】

<概要>
本研究では、1)コンピューター断層撮影(CT)画像を分析することにより、ヒトEDAR 370V/A多型と歯根形態との関連を明らかにしました。さらに、2)反応拡散モデルを仮定したコンピューターシミュレーションを実施することにより、EDAR多型が歯根形態を変化させるメカニズムを推定しました。
本研究は歯根形成の分子メカニズムについて理解を深めることに貢献します。

<論文情報>
論文タイトル:The human EDAR 370V/A polymorphism affects tooth root morphology potentially through the modification of a reaction-diffusion system
(和訳:ヒトEDAR 370V/A多型は反応-拡散系を調節することで歯根の形態に影響する)
雑誌名:Scientific Reports
著者名:Keiichi Kataoka, Hironori Fujita, Mutsumi Isa, Shimpei Gotoh, Akira Arasaki, Hajime Ishida, Ryosuke Kimura
DOI番号: 10.1038/s41598-021-84653-4
アブストラクトURL:
https://www.nature.com/articles/s41598-021-84653-4

 

沖縄県医科学研究財団から、医学部東恩納助教が研究奨励賞を受賞、上條助教が研究助成を贈呈されました

令和3年2月15日(月)沖縄県医科学研究財団の表彰式及び授与式が開催されました。

本学から、医学部保健学科の東恩納美樹助教が研究奨励賞を受賞、医学研究科の上條中庸助教が研究助成を贈呈されました。

なお、本学医学研究科皮膚科学講座博士課程4年大嶺卓也さんも研究助成に選ばれました。

東恩納美樹助教(下段中央左)、上條中庸助教(下段左)、大嶺卓也さん(下段右)

 

〇保健学科 東恩納美樹助教
研究奨励賞は、沖縄県に関連の深い研究や、貢献を行っており、特定分野の研究で学会に知られ、且つその将来の発展が予見される第一線の研究者に贈られる賞で、東恩納美樹助教の患者の安全という視点で看護実践と患者アウトカムの関連を科学的に検証し、看護の成果を可視化する研究と国際学術誌への論文投稿、国際学会発表の取組が評価されました。
授賞式では、東恩納 美樹助教が受賞記念講演を行いました。

 

東恩納美樹助教 受賞記念講演の様子

【東恩納美樹助教のコメント】
沖縄県医科学研究財団の研究奨励賞という栄誉ある賞をいただき、身に余る光栄です。これまでの研究にご協力・ご支援いただきました皆さまに、心より感謝申し上げます。この度の受賞は、新型コロナウイルス感染症という世界的危機の中で、人びとの健康に関わる看護の専門的役割の重要性が認識され、看護学のさらなる発展への期待が込められたものであると思います。看護実践の科学的な検証を継続し、よりよい医療・看護ケアを提供するための看護学の発展に貢献できるよう、努力して参ります。

 

〇医学研究科 上條中庸助教
沖縄特有の疾患や県民が頻繁にさらされる疾病を中心とした卒後10年程度の若手研究者の研究課題に対する助成を行うもので、今回、研究課題「母子隔離ストレスによる脳内可塑性変化と下部尿路機能障害発症機序の解明」に助成が決定しました。

【上條中庸助教のコメント】
日頃の何気ないストレスがきっかけで子どもの夜尿症やおもらしなどの問題がでてくると思います。その際に脳内でどの様な変化が起こっているか分かっておりません。本助成でストレスが夜尿症やおもらしにどう影響しているかの一端を明らかにしたいと思います。

 

〇医学研究科 皮膚科学講座博士課程4年 大嶺卓也さん
今回、研究課題「沖縄県に多発する化膿性汗腺炎に生じる線維化や疼痛の理解と治療標的の網羅的探索」に助成が決定しました。

【大嶺卓也さんのコメント】
このたびは研究助成をいただき大変光栄に思います。化膿性汗腺炎は沖縄に多い皮膚の病気ですが、詳しい病態はまだ明らかになっていません。沖縄から世界に発信できるような研究成果を出せるよう励んでまいります。

 

【関連リンク】琉球大学研究者データベース
保健学科 東恩納美樹助教
医学研究科 上條中庸助教

令和元年度 医学研究科 研究・教育業績評価 優秀者表彰式を開催しました

令和3年2月25日(木)

医学研究科教授会の決定に基づき実施された、客観的で透明性のある研究・教育業績評価において特に評価の高い教員の表彰式を、医学研究科長室にて行いました。
 受賞者へは、石田医学研究科長から、アクリル製の楯と研究費目録(20万円)が授与されました。

受賞者一覧

所 属 職 位 氏 名
臨床薬理学講座 教授 植田 真一郎
内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 教授 益崎 裕章
内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 准教授 森島 聡子
血液浄化療法部 准教授 古波蔵 健太郎
皮膚科 講師 山口 さやか
耳鼻咽喉科 講師 平川 仁
内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座 助教 岡本 士毅
先進ゲノム検査医学講座 助教 松波 雅俊
感染症・呼吸器・消化器内科学講座 助教 金城 武士
再生医学講座 助教 潮平 知佳
耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座 助教 山下 懐

授賞式の様子

授賞者の顔ぶれ

左から、古波蔵准教授、益崎教授、石田研究科長、植田教授、森島准教授、岡本助教

左から、金城助教、潮平助教、松波助教、石田研究科長、山下助教、山口講師、平川講師

令和4年度医学部医学科第2年次特別編入学(学士入学)募集要項

令和4年度医学部医学科第2年次特別編入学(学士入学)募集要項

琉球大学大学院保健学研究科と沖縄県立看護大学大学院保健看護学研究科 単位互換に関する協定を締結

琉球大学大学院保健学研究科と沖縄県立看護大学保健看護学研究科は、大学院間の相互の交流を促進し、教育の充実・向上を図ることを目的として、学生がそれぞれの相手大学大学院の授業科目を履修し、単位を修得できる単位互換に関する協定を締結し、令和3年度から実施します。

令和2年12月22日(火)に県立看護大学において単位互換協定締結式が行われました。両大学大学院間の単位互換協定締結は、はじめてとなります。

左 小林 潤 琉球大学大学院保健学研究科長
右 嘉手苅 英子 沖縄県立看護大学学長兼大学院保健看護学研究科長

向って左から照屋教授(琉大)小林研究科長(琉大)
嘉手苅学長(看大)大湾教授(看大)神里教授(看大)

 

琉球大学と沖縄県立看護大学は、いずれも高等教育機関の設置を望む、沖縄県民の強い思いを背景に設立されました。それぞれには総合大学と看護大学という特徴があり、それによる強みをもっています。今回の単位互換に関する協定はそれぞれの強みを活かすことになり、両研究科に発展をもたらせると考えます。
 保健学と看護学はいずれも 人々の健康を目指している学問分野であります。人間を社会の中で生活している身体的・精神的・社会的に統合された存在として捉え、健康を連続する状態として捉える見方は保健学と看護学に共通しています。このように学問的にも多くの共通性を持っている研究科同士が、今後、単位互換に留まらない様々な協力関係を築いていくことを期待しています。そして、この協定をきっかけに、両大学がさらに緊密な関係へと発展していくことを願っています。

(嘉手苅 英子 沖縄県立看護大学学長兼大学院保健看護学研究科長 挨拶抜粋)

 

保健学と看護学の研究において臨床や公衆衛生の現場において作り出された思いある研究は、大変価値のあるものです。さらに、その思いとともにしっかりした研究方法があれば、世の中を動かすファクトを示せることになります。沖縄県立看護大学は、ひとのために尽くすという看護の誇り高い精神を受け継いで教育に反映させている、伝統のある教育機関であり研究機関であります。これは当たり前のようですが当たり前でなく、沖縄に育ってきた素晴らしい社会規範の一つとして根付いてきた貴重なものです。戦後早くから一般住民や医師が「看護」を尊敬してあたり、看護師は誇りをもって業務に遂行してきたことは、沖縄の保健医療の改善が、経済成長の前になしとげられた一つの大きな要因と私は考えています。
 琉球大学保健学研究科の教官と学生は、この大切な精神を沖縄県立看護大学から学生・教官ともに大いに学ばせていただければと思います。この看護の精神と琉球大学保健学研究科が培ってきた保健学研究の経験を融合させて、両大学院の教育の質の向上をはかることは切なる願いです。この協定をもとに交流が進めば沖縄の保健医療を牽引するための人材育成が加速していくと確信しています。

(小林 潤 琉球大学大学院保健学研究科長兼医学部保健学科長 挨拶抜粋)