動物性脂肪と炭水化物の食べ分けを決定する嗜好性制御神経細胞を発見

「動物性脂肪と炭水化物のどちらを食べるか」を決定する嗜好性制御ニューロンが、本能を司る間脳視床下部に存在することを発見しました。

この研究は、琉球大学第二内科(内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座)岡本士毅 特命講師と益崎裕章 教授の研究グループと自然科学研究機構生理学研究所の箕越靖彦 教授の研究グループの共同研究で行われ、2018年1月17日(水)午前2時に米国科学雑誌「Cell Reports」へオンライン掲載されることになりました。

マウスは、脂肪を多く含む食物(脂肪食)を好んで摂食します。しかし、嗜好性制御神経細胞が活性化すると、脂肪よりも炭水化物を多く含む食物(炭水化物食)を摂取します。この神経細胞は、本能を司る古い脳「視床下部」に存在しており、絶食によって活性化し、炭水化物の摂食を促進します。その結果、絶食によって変化した体内の代謝を速やかに正常化することが分かりました。

本成果は、食物の食べ分けを決定する人の神経回路、高度肥満者が脂肪食を好んで摂取する原因、またストレスによって甘い物を食べる原因の解明につながり、肥満や糖尿病の治療にも応用が期待される画期的な研究成果として注目されます。

 

 

絶食により視床下部室傍核(PVH)CRHニューロンのAMPキナーゼが活性化すると、炭水化物食を多く選択して摂取し、脂肪食の摂取が減少する。結果、血中ケトン体濃度が速やかに正常化する。右図は、two-diet choice実験で使用する食物嗜好性測定ケージ。