新任教授のご紹介~大学院医学研究科皮膚病態制御学講座 高橋健造教授~

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平成28年4月より、医学研究科皮膚病態制御学講座(皮膚科)の教授を拝命いたしました高橋健造です。北海道出身で札幌南高校を卒業後、京都大学医学部に入学、皮膚科研修後、基礎医学教室の中西重忠教授の下、分子生物学的手法や思考法を学びました。ちなみに母校の札幌南高校からも、例年、琉球大学医学部へ入学される学生もおられます。4年間の米国ジョンス・ホプキンス大学での留学、帰国後の群馬大学と京都大学、そして平成22年より6年間、琉球大学の准教授と、皮膚科医としての大部分を大学の医師として勤務して参りました。

私の研究テーマは、主に進化の過程で、ヒトの皮膚は如何に多彩な機能を担い、その機能が破綻したときに角化症として発病する、その表皮の機能や病態を理解し治療法を開発することです。これまで遺伝性角化症であるダリエー病の治療薬となりうる薬剤を発見し特許申請を行い、今も琉球大学知財部の協力のもと、効果の確認試験も続けております。

人類学的な興味として、皮膚の創傷治癒に関する研究も継続しています。琉球大学本学の霊長類学者との共同で、ケニア国立霊長類研究所でヒヒなどの霊長類、マウス・ラットなど齧歯類、さらにはヒト型皮膚のモデルである県内種アグーブタを用いた皮膚の傷の治癒観察を行っています。霊長類を含めた哺乳類各種の中で、ヒトのみが皮膚の創収縮能力を大きく欠損する動物です。進化の過程で、ヒトが他の類人猿とは異なる、毛のない皮膚を獲得する一方、創傷治癒の能力を失ったのは何故なのか、大きな興味であります。

現在は沖縄・琉球諸島に多発する皮膚症の病態解明も主眼として研究しています。沖縄本島や近隣諸島には地理的、歴史的、人類学的な特徴からか、当地に特に多発する皮膚疾患が存在します。この地域に固有の皮膚疾患の疫学、病態、治療に取り組みことは、公衆衛生学的な課題であることは元より、琉球大学皮膚科独自の使命であり、ある面では学問的なチャレンジの機会であります。大学院生とともに、カポシ肉腫、色素性乾皮症、背部弾性線維腫、ハンセン病、血管肉腫、さらには学童に蔓延する薬剤抵抗性のアタマジラミなどの病態解明や治療に取り組んでおります。
Tetsu Yamashiro