新任教授のご紹介~大学院医学研究科 整形外科学講座 西田康太郎 教授~

皆さんこんにちは。令和元年7月に、縁あって琉球大学整形外科学教室の第3代教授に就任いたしました西田康太郎と申します。私は1992年に鳥取大学医学部を卒業し、神戸大学整形外科学教室に入局いたしました。研修の後、大学院での基礎研究の延長として1996年から3年半にわたってPittsburgh大学整形外科での留学生活を経験し、2001年から神戸大学整形外科に戻りました。神戸大学では脊椎外科を専門として医師あるいは研究者として研鑽を積んで参りました。このたび、初代茨木邦夫教授、第2代金谷文則教授が築いて来られた教室を引き継がせていただいたことを大変光栄に存じます。

 

整形外科は運動器の治療・研究を行う診療科です。運動器とは、我々の体を自由に動かすために必要な脊椎、四肢骨、関節といった骨格にはじまり、それを動かし支持する筋肉や靭帯と神経系から成り立っています。対象となる疾患は非常に幅広く、小児の発達障害や変形から高齢者の変性疾患まで広い年齢層にわたります。具体的には骨折や捻挫などの外傷やスポーツ障害、骨軟部の腫瘍性疾患から骨粗鬆症、四肢の関節障害から関節リウマチ、頚椎から骨盤に至る脊椎/脊髄障害から末梢神経障害まで実に多様な疾患が含まれます。手術手技に関しても、手の外科や脊椎硬膜内腫瘍などに代表される非常に繊細なmicrosurgeryから、骨接合、人工関節や脊柱変形矯正に代表されるダイナミックな手術まで様々な手術が存在します。高齢社会の到来により、健康上の問題なく日常生活を送れる健康寿命と、実際の平均寿命との乖離が大きな社会問題となっていますが、健康寿命を短くする最も大きな原因が運動器の障害です。このように整形外科のニーズは高まる一方であり、より多くの力を必要としています。

 

私達は運動器の治療を受け持つプロとして専門性を高め、さらに研鑽を積んでいく必要性に駆られています。そのために、まずは目の前の患者さんを治療できるよう、個々の医師の診療能力の向上が不可欠です。また、医師をとりまく環境や協力体制を整備し、チームとして結束できなければ個々の医師の力を発揮することはできません。大学病院としてのもう一つの大きな目標は、目の前にいない患者さんの治療にも貢献することです。個々の医師が直接治療できる患者さんの数はたかが知れています。現時点で目の前にいない患者さんのために、診療や研究から得た知見を可能な限り広くわかりやすい形で発信することが必要です。さらに未来の患者さんのために、新たな治療を開発し、次世代を担う優れた整形外科医を育成することも重要な責務と考えます。

 

日本最南端の沖縄には大いなる可能性を感じています。温暖な気候と美しい自然は多くの人々を惹きつけます。那覇空港には第2滑走路が整備され国際物流のハブ空港、アジアの玄関口としてさらに発展が見込まれています。今やハワイより多くの観光客が訪れるようになりそうで、海外からも多数の観光客が訪れています。観光の話ばかりではありません。高齢社会の中においても沖縄は、人口の自然増加率が国内で唯一増えている稀有な地域でもあり、いろんな意味で大きく成長が見込まれています。大学病院の移転計画や、最先端の医療設備も着実に整いつつあります。まずは沖縄で完結できる最高水準の医療を提供すること、さらに独自性のある医療を展開し最先端を目指すこと、そして世界へ、私たちの挑戦は今始まったばかりです。皆さんどうぞ宜しくお願いいたします。