新任教授のご紹介~保健学科 母子看護学講座 遠藤由美子教授~

2022年7月1日付けで保健学科 母性看護・助産学分野の教授を拝命しました、遠藤由美子(えんどうゆみこ)と申します。
 私は、周りを海に囲まれた自然豊かなうるま市の離島で高校まで過ごしました。1990年に琉球大学医学部保健学科を卒業した後、那覇市立病院で看護師、助産師業務に従事しました。その後、ご縁があり東北の地、山形大学医学部看護学科で13年間看護教育に携わり、2010年より母校での教育研究に携わっております。
 皆さんは母性看護学や助産学という分野について、どのようなイメージをお持ちでしょうか?妊娠、出産、育児をする女性を思い浮かべると思いますが、その時期だけでなく、女性の一生や育児にかかわるご家族も支援の対象としています。
 その中で、私は卵巣機能の低下がはじまる中年期以降の女性とその家族を対象とした研究を中心に行ってきました。女性の場合、約50歳で迎える閉経の前から様々な健康問題が現れやすくなります。日本人女性の平均寿命が90歳にせまる今、閉経後の期間をいかに健康的に、生活の質を落とさずに過ごすことができるかが重要になります。これまでの研究では、日常生活で取り入れやすい軽い運動が更年期症状だけでなく気分の改善につながることや、孫の育児にかかわることで適切な身体活動量が保たれ、生活の質もよいことがわかりました。
 女性は定期的に月経を経験するという性周期があることで、個人によっては周期的に体調の変化を感じ、体調の変化が勉強や仕事、家事、育児に影響することがあります。最近注目されているプレコンセプションケアは、女性やカップルを対象に妊娠前の時期に適切な知識・情報を提供して、将来の妊娠のためのヘルスケアを行うことを指しますが、近年の晩婚化、晩産化、少子化の中では、妊娠期以外の時期の健康管理も大切です。当分野では、生涯を通じた女性の健康支援について、今後研究を深めていきたいと考えています。
 また、沖縄県の母子保健の変わらぬ課題として、低出生体重児の出生率が高いことがあげられます。低出生体重になる原因は様々ですが、妊娠前の適正体重の維持や妊娠中の適切な生活習慣など、予防できることもあります。当分野では、沖縄県の若者の性の健康をよりよいものにしていくためのプレコンセプションケアについて研究を始めています。研究テーマに関心がある方は、どうぞお声かけください。