新任教授のご紹介~大学院医学研究科細胞病理学講座 加留部謙之輔教授~

加留部教授

 

初めまして、平成27年1月1日付で細胞病理学講座に赴任いたしました加留部謙之輔と申します。若輩者であり、ご迷惑をおかけすることもあろうかと思いますが、一生懸命頑張りますのでよろしくお願い申し上げます。

私は平成12年に九州大学医学部を卒業したのち、九州大学第1内科における2年間の内科研修を経て、病理学の世界に飛び込みました。病理の道に進むことにした理由として最も大きかったのは、研修期間の間に経験できた医療の2本柱である“診断”と“治療”のうち、“診断”により興味を覚えたからです。疾患の診断において、内科医の関わる比重ももちろん大きいのですが、私が興味を持った造血器腫瘍においては病理医の守備範囲が広く、当時は難解な病理診断用語についていけずに歯がゆい思いをしたのを覚えています。

大学院生として勉強する地として選んだのは血液病理学の泰斗であられた菊地昌広先生と大島孝一先生のおられた福岡大学でした。その後久留米大学に移った期間も合わせ合計7年にわたり、病理医としての研鑽を積み、病理学の考え方を身につけることができました。そこで形態像を中心とした病理学、病理診断に慣れてきた一方で、日常診断技術では見ることのできない分子学的なメカニズムに徐々に興味が移ってきたのが平成20年頃でありました。

ちょうどその頃、血液腫瘍の分子生物学的研究で日本および世界をリードしていた愛知県がんセンター研究所の瀬戸加大先生の研究室に籍を置けることになり名古屋に移りました。そこから丸5年間、遺伝子および培養細胞を通して見る血液腫瘍は、今まで顕微鏡を通しては飽きるほど見てきたはずなのに、とても新鮮なものでした。この“顕微鏡”と“遺伝子”の両方の視点から同じ疾患をじっくり見ることができた経験は自分にとって宝であり、今後の研究生活の基盤となるものと思われます。さらに平成25年からの2年間は、私の最新の(?)師であるスペイン、バルセロナ大学のElias Campo先生がまさにこの両方の視点を見事に融合させて世界をリードする研究を進めている現場を見、そして参加することができました。

このように、これまで師と仲間に恵まれ、楽しい研究生活を送ることができております。これからはこの沖縄の地で最先端の血液病理学研究を行う基盤を作りながら、若い人たちに病理学研究、病理診断のやりがいと面白さを伝えていけたら、と思っております。