大学院医学研究科長/ 医学部長からのメッセージ
琉球大学医学部にとって、2020年までの4年間は今後を左右する時期です。つまり、さらに発展が出来る時期であると同時に、衰退する可能性も秘めています。その前半2年間の医学部長を努めさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
医学部の発展のためには、大学本部、文部科学省、内閣府、沖縄県と密接な関係を保ちながら、沖縄県という大事な地域特性を基に、学生教育および医学研究に取り組み、医学部を国際的なレベルに発展させなくてならないと考えています。この沖縄の特性ですが、AMEDのプログラム・ディレクターの方からも 「国内の疾患をターゲットとしたゲノム・臨床研究をどのような地域や住民を対象にして行うのが適切なのか、という点をAMEDからも明確にしてほしいと言われております。」ということで、沖縄県がいかに大事な地域であるか、興味を持ってみているとも言われています。まだ、具体的な提案までは行かないのですが、いくつか、所信表明でも書いたことを述べたいと思います。
1.医学部と附属病院の西普天間移転に向けた取り組み
医学部発展の最大要素です。ここは全員一致で行きましょう。昨年度作成した基本計画を、基に、今後、実質的な基本設計に入ります。就任以来、本学の大城学長、須加原理事、福治理事、西田理事とも話をしております。が、もちろん、医学研究科、保健学研究科、医学部からの意見を反映させて、先端的な医学教育研究機能の充実を図ります。とくに、移転後に、まだ、バリバリと活躍できる若い方の意見を吸い上げることが大事と思います。附属病院については、附属病院長、診療科長ならびに医療関係者らが中心となって、診療機能を拡充できる設計が必要であると考えています。
2. 医学保健学教育のさらなる発展
医学科教務委員長を8年間努めた経験から、医学教育企画室(両教務委員会、学生生活委員会)を中心に、医学科においては、ミッションと医学教育分野別認証(8つの卒業時コンピテンス)を基にした医学教育を行い、優れた医師・医学研究者養成を実施します。先ほどのべた、沖縄の地域特性を大事にしながら、国際性を併せ持つことがミッションに書かれていますので、医科学研究、臨床実習などで、その点を重視してゆきます。保健学科においても、看護コース、検査技術学コースともにミッションを明確化し、より進んだ学部教育ブログラムを開発しなければなりません。医学科と同様ですが、専門看護師の養成など、沖縄県を今後もリードする事が大事です。また、実習中心に医保連携ブログラムをさらに推進する必要があります。もちろん、学生を勉学面と心身面の両輪から支えるシステムも大事です。国家試験合格については、看護師がほぼ100%を達成しているのに対し、医師国家試験が低めなので、これも克服して行く必要があると考えています。
3.医学研究科(医学科)・保健学研究科(保健学科)の研究の発展
運営費交付金の削減が続き、研究活動の活性化のために外部資金獲得(概算要求、競争的資金、県との合同事業など)が必須です。そのためには、臨床医学と基礎医学、保健医学との共同研究を推進する必要があります。例えば、先端医学研究センターにおける臨床と基礎の橋渡し研究体制の整備が進んでいますが、より一層の強化が求められます。
また、大学が進めている、研究科の統合方針に従えば、修士課程を中心とする改組を計画し、医学系研究科として一つにまとまり、沖縄の健康長寿崩壊を復興し、アジアの国々に貢献できる人材の育成や研究を行うことも必要になってきます。さらに、生命医科学研究科などへの拡充も可能ではないかと考えます。妄想に近いのですが、熱帯生物圏研究センターも飲み込むくらいの勢いが必要ではと思います。
これらの取り組みを具体化するためには、外部資金の獲得等をもとに、クロスアポイントメント、人事交流を盛んにして、質の高い論文を生産し、実のある教育・研究を進めて行く必要があります。
もちろん、教育、研究、診療環境の整備は、大事です。ハラスメントの無い教育現場、診療現場を保つことは我々の責務です。
この実現のために、教職員の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、ご挨拶といたします。