新任教授のご紹介~大学院医学研究科 衛生学・公衆衛生学講座 中村幸志 教授~

令和元年7月1日付で衛生学・公衆衛生学講座の教授を拝命しました中村幸志(なかむらこうし)と申します。琉球大学の一員に加えていただけたことを大変光栄に思います。

 

私は、自治医科大学を卒業後、郷里の滋賀県の病院や診療所で一般内科を中心にプライマリケアの診療に従事しました。全く想像もしていなかった現在の仕事に向けて歩み出すきっかけは、卒後5年目から勤務した診療所(一人医師)にて「疾病予防」「地域の人々(集団)」「組織的対策」「社会の中の医療」などへの関心が芽生えたことです。これらの言葉と関係がある公衆衛生学を学びたいと思い、勤務の傍ら地元の滋賀医科大学福祉保健医学講座(現公衆衛生学部門)の研究生となり、講座の柱であった循環器系疾患予防の疫学(一般の人集団を観察して、疾病発症率やその関連要因を探り、対策につなげること)を学び始めました。関心が高じて、へき地勤務の義務が明けた後に臨床を辞め、滋賀医科大学に移って本格的に疫学研究に従事しました。学位取得後に豪州The George Institute、金沢医科大学の類似の部門で循環器系疾患予防の疫学研究を深めつつ、公衆衛生学・疫学の教育の研鑽も積みました。直近の所属である北海道大学ではがん、母子、高齢者、基礎系分野との異分野融合の疫学研究にも参画し、研究の幅を広げることができました。いずれの大学でもよき指導者・同僚・研究スタッフにめぐり会えたおかげでここまで成長できたと感謝していますが、疫学研究はチームプレーで成り立っているところにおもしろさを感じています。研究フィールドである地域や事業所で課題を見出して研究に昇華させ、その成果を健康づくり事業などの実践に活かしてきたこともこれまでの活動の特徴です。

 

ご縁あって赴いた沖縄県で、環境・生活習慣と健康との関係に注目した研究と実践を展開し、その過程で公衆衛生を担う医師や他職種を育成し、この方面から「安心して暮らせるまちづくり」に貢献していきます。医学の中にはこのような分野があることを知り、興味を持って一緒に活動していただける仲間が増えることを願っています。