新任教授のご紹介~大学院医学研究科 顎顔面口腔機能再建学講座 中村 博幸教授~


 令和2年3月1日付で医学部顎顔面口腔機能再建学講座の教授を拝命しました中村博幸と申します。
 伝統ある講座をさらに発展させ、広く沖縄の医療に貢献できるよう努力してまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

生まれは富山県で、大学は九州歯科大学、卒業後は慶応義塾大学、東大医科学研究所、米国スクリプス研究所、英国インペリアルカレッジロンドン、東京医科歯科大学、国立長寿研究所、金沢大学と国内外多施設を移動し、一般的な歯科医とは異なる貴重な経験をさせて頂きました。最終到着地は琉球大学となり、このご縁を大切に沖縄のために懸命に働きたいと思っています。

近年の日本の人口の超高齢化に伴い歯科へのニーズは劇的に変化しています。従来型の歯科医療に加えて、口腔健康から全身健康に寄与する歯科医療、さらに医科と連携しながら急性期、回復期、維持期、在宅介護そして終末期医療をサポートする口腔機能管理ひいては栄養・感染管理に関わる歯科医療が求められています。歯学部のない県では医学部歯科口腔外科が唯一の歯科医療教育機関であり、医学部学生や卒後歯科医師を対象として、歯科保健医療のパラダイムシフトに対応した教育システムを構築することが重要であると考えています。医学部歯科口腔外科は、医師と歯科医師の両方を教育することから、医科歯科連携の推進において最適の場所であり、この利点を最大限に活用したいと思います。

また、沖縄県の永久歯むし歯罹患本数は全国最下位です。その背景には、個人・地域格差による口腔衛生管理不足などが理由であるとされています。また、咬む力や舌などの口腔機能の維持は超高齢社会で満足な生活を過ごすためにも重要です。県民の生活向上のためには、口腔機能を維持できるような環境・仕組みを沖縄県並びに歯科医師会、琉球大学歯科口腔外科、県内病院歯科口腔外科、各関連施設が一体となって推進しなければなりません。今後は、地域医療、行政との連携体制を構築し、対話からニーズを丁寧にもれなく抽出することにより、琉球大学歯科口腔外科に求められている役割を懸命に果たしていきたいと考えています。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。