新任教授のご紹介~大学院医学研究科 胸部心臓血管外科学講座 古川 浩二郎教授~


 令和2年(2020年)9月1日付で琉球大学胸部心臓血管外科(第二外科)教授を拝命しました古川浩二郎と申します。皆様、どうぞよろしくお願い致します。

私は、昭和63年(1988年)に佐賀医科大学を卒業後、同大学の胸部心臓血管外科教室に入局し、心臓・血管・肺の外科学を専攻しました。その後、佐賀大学およびその関連病院にて心臓血管外科の臨床研修および研究を一心に行って参りました。そして、この度、伝統ある琉球大学胸部心臓血管外科学教室の一員に加えていただきました。

琉球大学胸部心臓血管外科学教室は、昭和58年(1983年)に開講し、初代 草場 昭 教授、第二代 古謝景春 教授、そして第三代 國吉幸男 教授が作ってこられた素晴らしい教室です。臨床・教育・研究と大学の使命である三本柱が大変バランスよく行われています。その証しとして、現在沖縄で活躍されている多くの人材を輩出しています。そして、その伝統の上に私がこれまで培ってきた事を少しでも積み上げるべく精進していく覚悟です。

以下に教室の特色をご紹介します。

臨床:通常の心臓血管手術はすべて万遍なく行っており、かつ現在の最先端治療である経カテーテル大動脈弁置換術(症例数は国立大学の中で全国2位)、大動脈ステントグラフト、重症心不全に対する人工心臓治療、低侵襲心臓手術などを精力的に行っています。また、沖縄で患者さんの多いBudd-Chiari症候群に対する外科治療の実績は世界でもトップクラスです。そして、これから私のライフワーク一つである弁形成術(自己弁温存大動脈基部置換術、大動脈弁形成術、僧帽弁形成術)や本邦ではいまだ症例数の少ない肥大型心筋症に対する心筋切除術にも力をいれていきます。

研究:大動脈手術時に稀に合併する脊髄障害はいまだに世界的にも未解決の分野です。その発症のメカニズムを臨床および基礎研究にて解明し、その合併症の予防を目指しています。また、Budd-Chiari症候群の発生メカニズムやより侵襲の少ない外科手術開発も行っています。今後、私が佐賀大学にて経験した再生医療技術を応用し臨床に直結する重症心不全に対する心筋再生や重症虚血肢に対する血管再生などの研究を開始したいと考えています。

教育:大学の三つの使命の内、最も大切なことと考えています。医学生~研修医~専攻医~専門医にいたる医師人生においてシームレスな教育を行い社会に有用な人材を一人でも多く育成していきます。そのために、常にお互いを刺激、高め合える教室作りを目指します。私の教育の理念は、患者の立場に立って考えることができる心を持ちかつグローバルにものを考え(世界レベルの医療知識・技術を習得することにより得られる)、そして常に目の前の患者さんに全力を尽くすという信念をもった医療人を育成することです。

今後の目標は、心臓血管病の患者さんの医療を沖縄で完結するだけでなく、他県からも患者さんや医療関係者が訪れる様な安心・安全かつ先進的な医療を琉球大学にて実現していくことです。その目標に向け医局員一丸となり取り組んで参ります。