2021年 医学部長年頭の挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

昨年はCOVID-19の感染拡大を受けて、教育、研究及び診療への対応に追われたかと思います。その中でも、たくさんの成果が上がりました。その成果と今年の抱負を述べて、皆様に新年の挨拶を申し上げたいと思います。

1.教育面について

活動制限を受けて、オンデマンド型のWebClassを活用した遠隔授業か、ZoomやMicrosoft Teamsを用いた双方向型のいずれかの遠隔授業を実施しました。そのため、オンライン授業等の実施にあたり、学生への連絡、出欠の方法、システムの操作など運用マニュアルを整え、令和2年4月7日に科目担当教員向けの説明会を実施しております。遠隔授業に対応するため、貸出用のWifiルータ等も用意し通信環境が整っていない学生に限り、講義室等を開放して対応しました。

臨床実習が休止された期間の一部は動画コンテンツにより、症例検討を中心としたオンライン実習を実施しました(令和2年5月11日~5月22日)。その後は、病院関係者のご尽力により、臨床実習を続けることができています。医学科は、臨床実習後OSCEが令和2年度から正式実施となりましたが、これも無事終了しました。解剖学実習は、保健学科との合同実習ができなくなりましたが、令和2年12月21日に無事終了しました。

遠隔授業の事例ですが、組織学実習は、概要説明をリモートで行い、実習時間の短縮化を図りました。さらに前半・後半の2グループに分けて定員の50%以下での対面実習を継続し、一方、バーチャルスライド活用を促進しています。試験は、一部の科目については、Web上での試験を実施しました。出題の順序をランダムにする、1問あたりの回答時間を制限する、WEBカメラをオンにして受験させる、出題問題を約400問プールして、その中から25問をランダムに出題など、極力公平性を担保しています。来年度はハイブリッド授業が可能か?検討課題です。

令和3年度入学者選抜においても、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う追試験の実施をはじめ感染防止対策を徹底した入試の実施を行うため、ご協力をお願いしたいと思います。

2.国際交流

国際交流はほぼ止まってしまいました。それでも、保健学研究科では国際化を推進しています。フィリピン大学、チェンマイ大学との学生交流や国費外国人留学生(フィリピン、ラオス、インドネシア)の受入を行なっています。

医学研究科・医学科としては、昨年度は、医科学研究では、昨年度、米国コロラド大学医学部、ハーバード大学医学部、ベルギーサンリュック病院、シンガポール南洋理工大学、台湾チメイ病院に3年次学生を派遣し、令和2年2月末に無事帰国しています。今年度は、海外派遣は中止になりました。台湾との国際交流も中止になっています。

3.研究について

基盤研究Aを始めとする多数の科学研究費補助金を獲得し、また、概算要求事業として、「亜熱帯島嶼の時空間ゲノミクス」、「沖縄県地域医療拠点形成に向けた先端医学研究センターの設置」が走っています。さらに、「沖縄バイオインフォメーションバンク試料解析保管システム」が補正予算で整備されます。また、沖縄県の先端医療実用化推進事業やAMEDの「新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する治療薬開発)」、「中央IRB促進事業」、「女性の健康の包括的支援実用化研究事業-Wise」および武田科学振興財団特定研究助成を活用しつつ整備を推進しています。

これらをもとに、多数の論文が出版され、プレスリリースを行ってもらいました。どんどん、アウトリーチも進めていければと思います。

また、クロスアポイントメントとして、2名の特命教授を迎えました。合計4名になりました。先進医療創成科学講座を設置し、令和3年2月1日に教授をお迎えします。また、上原キャンパス事務部に企画・研究推進室を設置し、事務からのバップアップ体制を作りました。

4.医学部及び病院の移転について

令和2年度第3次補正として、54.8億円、令和3年度概算要求として、沖縄健康医療拠点整備経費が措置され、合計約139億円となりました。令和2年度には土地取得を進めていて、合計で約16haの敷地を取得予定です。病院棟は建設が始まり、研究棟・講義実習棟の実施設計を進めます。 この医学部及び病院の移転について、国が目指す国際性と離島の特性を踏まえた沖縄健康医療拠点に相応しいキャンパス整備を目指し、全学を挙げて取り組むため、皆さまのご協力をお願いいたします。

毎年述べていますが、教育、研究、診療環境の整備は、大事であり、ハラスメントの無い教育現場、診療現場を保つことは重要な責務であると考えています。特に医学部・病院、つまり上原キャンパス(上原事業場)は、大学全体の約3分の2の教職員が働く大所帯ですので、働き方改革も行っていく必要があります。

私の任期は今年3月に終了しますので、令和3年度以降の取組は病院長と次期医学部長に引き継ぎます。

最後に、皆様のご多幸と健康を祈念し、また、医学部及び病院の発展を祈願し、年頭の挨拶といたします。

2021(令和3)年1月4日

琉球大学医学部長 石田 肇