新任教授のご紹介~大学院医学研究科 生化学講座 黒柳 秀人教授~


 みなさま、こんにちは。2021年4月1日付で生化学講座の担当になりました黒柳秀人(くろやなぎ ひでひと)です。

私は愛知県の地方都市の出身です。山や田んぼに囲まれた数軒の集落で育ち、へき地の公立小学校、中学校を経て、片道1時間半をかけて公立高校に通っていました。世の中にどういう職業があるのか、自分がどういう仕事に向いているのか分からず、文系も含めすべての学部学科に進学可能な東京大学の理科二類に進みました。そこで出会ったのが、今日まで研究を続けている分子生物学です。

医学科を目指している多くの高校生のみなさんがそうであるように、私も高校では物理と化学を選択肢しました。高校で習った生物に出てくるものといえば、肉眼や顕微鏡で観察したものか目に見えない酵素の類い、いわゆる博物学だと思っていました。しかし、今日の大学で研究する最先端の生物学は、さまざまな原理に基づく機器を駆使し、遺伝情報を操ることで、生命現象を担う分子の形を明らかにし、物理学と化学と統計学の原理で説明しようとする、精巧な実験科学なのです。

生命現象を普遍の原理で説明する、そういう共通の目標があるからこそ、個々の研究者は誰もが納得のいく証明を目指します。そして、その一番の動機は、自分自身が納得できる答えを自分の手で見つけたい、ということなのです。

大学には、万人の疑問に答える研究をする好機が待っています。医師を目指す人も生命科学を志す人も、生命科学が何だかまだ分からない人も、ここにはみなさんの好奇心をかき立てる環境があります。先入観にとらわれず、さまざまなものに反応するアンテナを磨きながら、大学を目指して欲しいと思います。そして、私達の世代には思いもよらない新しい発想をもったみなさんと一緒に研究できる日が来ることを楽しみにしています。