2022年 医学部長年頭の挨拶

皆様、新年明けましておめでとうございます。

新年を迎えるにあたり、昨年の医学部・医学研究科の活動を振り返り、今年の抱負を述べさせていただきます。

1. 医学部創立40周年

本医学部は1979(昭和54)年に設置され、2年後の1981(昭和56)年から学生の受け入れを開始しました。学部創立は学生の受け入れ時から数えるそうで、今年度は医学部創立40周年にあたります。
 これまでに医学部が輩出した卒業生数は医学科3,487名、保健学科2,392名におよびます。保健学科は医学科よりも歴史が古く、前身の琉球大学保健学部が1969(昭和44)年から学生の受け入れを始めていて、それを含めると保健学科の卒業生数は2831名です。本学部の卒業生は、沖縄県の医師数および臨床検査技師数の約4割を、そして、沖縄県内看護系3大学(琉球大、県立看護大、名桜大)の教員数の約7割を占めるまでになっています。

2. 人事

医学研究科では、昨年4月、生化学講座に黒柳秀人教授を、救急医学講座に梅村武寛教授をお迎えしました。また、昨年7月、放射線診断治療学講座に西江昭弘教授をお迎えしました。保健学科では、戦略的ポスト再配分において2つのポストを獲得し、今年4月、在宅・慢性期看護学分野に関口浩至准教授をお迎えする予定です。また、病態検査学講座に助教を採用する予定です。
 上原キャンパス事務部においては、昨年4月、鈴木極学務課長、仲本律雄企画課長、崎山英樹管理課長、および仲里隆司医事課長をお迎えしました。

3. 教育

昨年の医学科の医師国家試験の合格率は過去10年間で最も良い成績でした。新卒と既卒を合わせた合格率は95.5%で、全国80大学中19位でした。また、保健学科においても、看護師、保健師、助産師の国家試験の合格率はすべて100%でした(新卒のみ、既卒は受験者なし)。臨床検査技師の国家試験の合格率も全国平均とほぼ同等の77.8%でした(新卒のみ)。素晴らしい結果です。

4. 研究

昨年は医学部・医学研究科において沢山の研究成果が発表されました。先進ゲノム検査医学講座の前田士郎教授、松波雅俊助教らの研究グループは、沖縄県、内閣府、および文科省の支援を受けて、宮古諸島の住民が3つの異なる遺伝集団に分類されることをゲノム解析によって明らかにしました。狭い地域の住民において複数の遺伝集団が存在することを示した世界初の成果です(Mol Biol Evol 2021, IF 16.240)。
ゲノム解析によって明らかになった宮古諸島の人々の由来(本学公式HP)

また、形成外科学講座の清水雄介教授らは、沖縄県およびAMEDの支援を受けて、ヒト組織を企業に提供する審査体制(産業利用倫理審査委員会)を学内に構築しました。日本初の成果です。このことにより日本における再生医療等製品の開発が飛躍的に進展することが期待されます。
製薬企業へのヒト組織提供  日本初の「琉球大学産業利用倫理審査委員会」による承認  難病に対する再生医療等製品の開発加速へ(本学公式HP)

5. 地域貢献

千原キャンパスにおいて昨年8月と9月に行われたCOVID-19ワクチン接種では、医学部・医学研究科・病院から延べ296名を派遣し支援を行いました。近隣の大学もワクチン接種の対象でしたが、接種を受けた沖縄国際大学、キリスト教学院大学、および沖縄県立芸術大学からは感謝の言葉をいただいております。また、沖縄県新型コロナウイルス感染症対策本部や専門家会議への参画、沖縄県COVID-19ワクチン接種の支援、並びに保健所業務の支援などを行いました。

6. 移転

医学部と病院の宜野湾市西普天間地区への移転計画は順調に進捗しています。医学部の開学日および病院の開院日は、3年後の2025(令和7)年初頭を予定しています。病院棟は建設工事が進行中で、医学部棟は今年8月頃から建設工事が始まる予定です。

最後に、抱負を述べさせていただきます。私は、本医学部・医学研究科がさらに発展するように、今年も誠心誠意尽力してまいります。教職員の皆様には、自分の職場に誇りを持って、元気で、楽しく働いていただければ幸甚でございます。新しい年が皆様にとりまして輝かしい一年になりますことを衷心より祈念申し上げ、私の新年のご挨拶とさせていただきます。

2022(令和4)年1月4日
琉球大学医学部長
琉球大学大学院医学研究科長
筒井 正人