新任教授のご紹介~大学院医学研究科 人体解剖学講座 木村亮介教授~
2022年4月1日付で人体解剖学講座の教授を拝命しました木村亮介です。琉球大学に赴任したのは2009年で、その頃1歳だった長女も中学校を卒業する歳になりました。今後とも、公私共々どうぞ末永く宜しくお願い致します。
医学部教育では、主に肉眼解剖学を担当します。琉球大学医学部では、現在、解剖学実習は1年次の後期に行われています。医学部生にとって、解剖学実習は基礎医学学習のハイライトの一つであり、貴重な体験です。ご献体された方々の尊いご遺志に感謝しながら、厳しくも楽しい解剖学実習となるよう努めて参ります。
研究の方は、自然人類学を専門として、ゲノムと表現型の両面から、ヒトの進化や多様性について研究しています。現生人類は、約20万年前にアフリカで誕生し、約5万年前からユーラシア大陸に拡散しました。さらに、ベーリング海峡を渡り、約1万2千年前には南アメリカ大陸の南端まで到達します。それまでの人類が進出できなかった極寒の地や島嶼地域にも、現生人類は進出することができました。そして、それぞれの地域の環境に適応するべく、身体的な特徴を発達させていきました。このようにして生まれたヒトの多様性を理解することは、ヒトが如何に様々な環境を克服してきたのかを知ることに繋がり、それは今後の医療のヒントになります。まさに温故知新です。新型コロナウィルスが猛威をふるっていますが、病原体への適応の歴史もヒトのゲノムに刻み込まれている可能性があるのです。
琉球列島では、約3万年前の更新世人骨が出土しています。その人たちは、どこからどうやって来たのでしょうか。現在の沖縄の人々との繋がりはあるのでしょうか。人類の進化と拡散に思いを馳せながら、日々、教育と研究をおこなっています。興味のある方は、気軽に遊びに来てください。