2023年 医学部長年頭の挨拶

皆様、新年明けましておめでとうございます。本年も、どうぞ、宜しくお願い申し上げます。新年を迎えるにあたり、昨年の医学部・医学研究科の活動を振り返り、今年の抱負を述べさせていただきます。

 

1.人事

医学研究科では、昨年4月、人体解剖学講座に木村亮介教授、10月、感染症・呼吸器・消化器内科学講座に山本和子教授をお迎えしました。山本和子教授は医学研究科初の女性教授です。保健学科では、7月、母性看護学講座母性看護・助産学分野に遠藤由美子教授をお迎えしました。上原キャンパス事務部では、4月、文部科学省から加藤善一上原キャンパス事務部長・普天間キャンパス(仮称)準備室長(併)をお迎えしました。また、仲本律雄総務課長、知念芳和企画課長、および池原広和管理課長をお迎えしました。

 

2.教育

昨年の医師国家試験の合格率は、新卒が93.6%(全国平均95.0%、全国81校中第65位)、全体(新卒+既卒)が91.4%(全国平均91.7%、全国81校中第53位)でした。昨年の成績は全国平均を少し下回りましたが、最近10年間は全国平均と同等かそれを上回る良い成績をあげています。保健学科の国家試験の合格率は、看護師は96.7%、保健師は100%、助産師は100%、臨床検査技師は81.3%で、いずれも良い結果でした。これらの成果は、教務委員会、学生生活委員会、医学教育企画室、各教員、および学務課の努力のたまものだと思います。

 

3.研究

昨年、医学研究科・保健学科から沢山の研究成果が発表されました。内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座の仲地講師、岡本助教、益崎教授らの研究グループは、糖尿病治療薬のSGLT2阻害薬が成人T細胞白血病患者に由来するリンパ球系癌細胞の異常増殖を著明に抑制することを世界で初めて明らかにしました。この知見は、成人T細胞白血病の全く新しい治療法の開発に繋がる画期的成果です(Biomedicine & Pharmacotherapy 2022, IF 7.420)。また、保健学科疫学・健康教育学分野の高倉教授らの研究グループは、コロナ禍の日本人集団において生活領域別の身体活動レベルに社会経済格差が見られるか否かを検討し、コロナ禍では身体活動の社会経済格差が拡大していることを世界で初めて明らかにしました(Public Health 2022, IF 4.984)。

 

4.医学部の取組

昨年、医学部に新型コロナのPCR検査体制を立ち上げました。医学部の学生・教職員およびその家族に無料でPCR検査を提供しています。また、医学部のセキュリティーの強化のために暗証番号式ドアロックを増設、研究支援体制の強化のために先端医学研究センターにMedical DX分野および感染症分野を新設、医学部・病院のロゴマークを作成、教授会のハイブリッド開催を導入しました。

 

5.移転

医学部と病院の宜野湾市西普天間地区への移転事業が国策として進められています。皆様のご支援・ご協力のおかげで、移転事業は順調に進捗しています。現在、病院棟は7階まで建設工事が進んでいます。医学部の開学日および病院の開院日は、2年後の2025(令和7)年初頭を予定しています。

最後に、抱負を述べさせていただきます。私は、本医学部・医学研究科がさらに発展するように、今年も誠心誠意尽力してまいります。教職員の皆様には、自分の仕事に誇りを持って、元気で、楽しく働いていただければ誠に幸甚でございます。新しい年が、皆様にとりまして、明るい夢と希望をもって歩みを進めていくことのできる輝かしい一年になりますことを衷心より祈念申し上げ、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

2023(令和5)年1月4日

琉球大学医学部長
琉球大学大学院医学研究科長
筒井 正人