比嘉章太郎先生が日本薬理学会西南部会のYIAを受賞しました

10月7日(土)、琉球大学医学部において、第76回日本薬理学会西南部会が開催されました。西南部会は、九州・沖縄地方の全ての県、中国地方の山口県、島根県、鳥取県、および四国地方の愛媛県と高知県において、薬理学を研究する医師・薬剤師・歯科医師・獣医師・看護師・大学教官・企業研究者等の学識経験者によって構成される部会です。西南部会は今年で76年目を迎える歴史と伝統のある学会で、今回は本医学研究科薬理学講座の筒井正人教授が会長を務めました。

午前中に若手研究者奨励賞(YIA)のオーラルセッションが開催され、胸部心臓血管外科学講座の比嘉章太郎先生は、『NO合成酵素完全欠損下におけるテストステロンの有害な心血管作用』について発表しました。その結果、12名のYIA応募者の中で第2位になり、YIAの賞状と賞金が授与されました。YIA授賞式は、波の上ビーチのバーベキュー会場での懇親会の時に行われました。

主に男性の精巣から分泌されるテストステロンは、血管拡張作用や抗動脈硬化作用などの有益な心血管作用を有しています。比嘉先生は、NO合成酵素完全欠損下では、テストステロンは、全く逆の有害な心血管作用を示すことを世界で初めて明らかにし、その成果を発表しました。大規模臨床試験において、低テストステロン血症を示す高齢男性の冠動脈疾患患者に対するテストステロン補充療法の作用が検討されましたが、予想に反して予後が有意に悪化し、その試験は中止になりました。しかし、そのメカニズムは不明です。高齢男性ではNOレベルが低下していることから、比嘉先生の知見は、テストステロン補充療法が予後を悪化させたメカニズムの一端を世界に先駆けて明らかにできたと思われます。

比嘉章太郎先生は、本医学科の卒業生で(2009年卒)、琉球大学病院の専門指導医をしています。この研究は、胸部心臓血管外科講座の古川浩二郎教授、薬理学講座の筒井正人教授、山下弘高准教授との共同研究です。


発表する比嘉章太郎先生


授賞式会場での比嘉章太郎先生(右)と筒井先生(左)