分子・細胞生理学講座の高松岳矢先生が日本生物学的精神医学会の若手研究者奨励賞を受賞しました

11月6日に開催された第45回日本生物学的精神医学会年会で、本学医学研究科分子・細胞生理学講座の高松岳矢先生が同学会の若手研究者育成プログラム第12回奨励賞に選ばれ、同日、授与式が行われました。
 高松先生は「ミトコンドリア代謝制御遺伝子に注目した双極性障害の病態研究」というテーマで講演しました。

高松先生は双極性障害(躁うつ病)の患者さんの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作成し、実験室で神経細胞に分化させ、疾患の原因やメカニズムを探索する研究を進めています。最近の研究において、iPS細胞由来の神経系細胞のRNAを解析し、ミトコンドリアに関係する特定の遺伝子の発現に異常がある可能性が浮かび上がり、この成果により受賞されました。ただし、これが疾患の原因であるかどうかは、引き続きさまざまな検証が必要です。また、この異常が疾患にどの程度影響しているかや、メカニズムについてはまだ不明で、今後更なる研究が求められます。

精神疾患の多くは未だに原因が解明されておらず、イノベーションを促進するためには基礎研究と臨床研究の連携が不可欠です。しかし、近年では生物学的な研究をする精神科医の数が減少し、研究の担い手が不足しています。
 日本生物学的精神医学会は、精神疾患の生物学的病態の解明を目指しており、高松先生の今後の研究に期待し、若手研究者の育成を目的として奨励賞を授与しました。
 高松先生は、本医学部医学科の卒業生で、本学部の精神科神経科での専門研修プログラムで臨床経験を積んだ後、分子・細胞生理学講座にて大学院博士課程を修了し、現在は同講座で助教を務めています。

この研究は、大学院生の時に松下正之教授の指導をうけてスタートし、琉球大学病院精神科神経科、沖縄県内の精神科医療機関、そして研究参加に同意されて血液をご提供頂いた多くの方々の協力を得て実施されました。人体解剖学講座、東京慈恵会医科大学再生医学研究部、国立成育医療研究センターゲノム医療研究部、沖縄科学技術大学院大学細胞分子シナプス機能ユニットとの共同研究として進められています。


授賞式での高松先生(左から3番目)


講演の様子