令和6年(2024年) 医学部長年頭挨拶

皆様、新年明けましておめでとうございます。年頭にあたり、一言、ご挨拶を申し上げます。昨年の医学部・医学研究科の動向を振り返り、今年の抱負を述べさせていただきます。

 

1.人事

昨年、医学部・医学研究科に4名の教授をお迎えしました。昨年1月には、医化学講座に東京大学工学系研究科から鈴木健夫教授をお迎えし、昨年5月には、医学教育企画室に「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」実施のための特命教授として、沖縄県立中部病院から金城紀与史先生をお迎えしました。そして、昨年7月には、循環器・腎臓・神経内科学講座に、徳島大学から楠瀬賢也教授を、昨年10月には、女性・生殖医学講座に、新潟大学から関根正幸教授をお迎えしました。

 

2.教育

昨年の本学の医師国家試験合格率は、新卒が97.6%(全国82校中20位)、新卒+既卒が95.6%(同17位)で、素晴らしい結果でした。また、昨年の看護師、保健師、助産師の国家試験の合格率はすべて100%で、こちらも大変素晴らしい結果でした。一方、昨年の臨床検査技師の国家試験の合格率は71.4%で、全国平均の合格率を少し下回りました。この点については検討の余地がありそうです。また、文科省による補助金等の公募事業においては、一昨年「ポストコロナ時代の医療人材育成拠点形成事業」に採択され、昨年「質の高い臨床教育・研究の確保事業」に採択されました。医学教育モデル・コア・カリキュラムは、令和4年度に改訂され、令和6年度の入学者から適用されます。臨床実習前OSCEとCBTの共用試験は、令和5年度から公的化されました。また、今年11月には、6年ぶり2回目の医学教育分野別評価を受審する予定です。

 

3.研究

昨年、医学部・医学研究科から沢山の研究成果が発表されました。保健学科国際地域保健学分野の小林潤教授は、Tropical Medicine and Health 2023 (IF 4.3)にEditorとして特集号を企画編集され、その特集号に多国間政策比較やケーススタディー等に関する4報の論文を発表されました。先進医療創成科学講座の山下暁朗教授らの研究グループは、リボソームにおいてタンパク質に翻訳中のmRNAを回収する方法を確立し、タンパク質発現量と密接に相関するmRNA定量法の開発に成功しました(Nucleic Acids Research 2023, IF 14.9)。脳神経外科学講座の石内勝吾教授らの研究グループは、脳悪性腫瘍に対する放射線治療において、高気圧酸素療法とNMDA受容体拮抗薬メマンチン投与を併用すると、放射線治療により引き起こされる正常脳組織の放射線傷害と認知機能低下を予防できることを世界に先駆けて報告されました(Neuro-Oncology 2023, IF 15.9)。医化学講座の鈴木健夫教授らの研究グループは、RNAに糖を付加する糖転移酵素を発見し、その酵素が成長障害に重要な役割を果たしていることを世界で初めて明らかにしました(Cell 2023, IF 64.5)。

 

4.学生の取組

医療系サークルOff the Clockに所属する医学科の2年次と3年次の6名は、第9回全国医学生BLS選手権大会に参加し総合優勝しました。BLSとはBasic Life Support(一次救命処置=心肺蘇生法)のことで、全国医学生BLS選手権大会は心肺蘇生法の知識と技術を競う大会です。琉球大学は参加した35大学(41チーム)の中で第1位になりました。

 

5.移転

皆様のご支援・ご協力のおかげで、医学部と病院の宜野湾市西普天間住宅地区跡地への移転事業は順調に進捗しています。医学部関連の建物は、現在約4割が完成しており、令和6年10月末に竣工する予定で、医学部の開学日は令和7年4月1日の予定です。また、病院関連の建物は、現在約9割が完成しており、令和6年6月末に竣工する予定で、病院の開院日は令和7年1月6日の予定です。

最後に、抱負を述べさせていただきます。私の医学部長・医学研究科長の任期は、ちょうど医学部の移転が完了する令和7年3月末までです。移転事業が成功するように、そして医学部・医学研究科がさらに発展するように、今年も精一杯尽力して参ります。今年が、皆様にとって、健康で幸せな一年になることを衷心より祈念申し上げ、私の年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

令和6(2024)年1月4日

琉球大学医学部長
琉球大学大学院医学研究科長
筒井 正人