新任教授のご紹介~大学院医学研究科再生医学講座 野口洋文教授~

野口教授

 

2014年に琉球大学に新設された再生医学講座の初代教授となりました野口洋文と申します。私は、1996年に岡山大学医学部医学科を卒業後、高知県立中央病院(現高知医療センター)の研修医として臨床腎移植に携わりました。その影響で1998年に岡山大学へ帰局した後、移植グループに所属することとなり、当時、新しく立ち上げようとしていた肝細胞移植、膵島移植などの細胞移植研究に従事することとなりました。新しい研究テーマであったため大変苦労しました。その甲斐あってNat MedはHum Gene Therなど複数の論文を発表することができました。その研究内容が評価され、2002年ハーバード大学ジョスリン糖尿病センターに留学することができました。バーバード大学では臨床膵島移植に携わるとともに膵島再生の研究に従事しておりました。同じころ、京都大学で臨床膵島移植プロジェクトが立ち上がり、海外で臨床膵島移植の経験のあるメンバーを集めることとなり、幸運なことに2003年にチームへの参加オファーをいただきました。同年10月より京都大学附属病院移植外科所属となり、私以外の海外での膵島移植経験者3名とともに臨床膵島移植の準備を行いました。

2004年、日本初となる心停止ドナー膵島移植を実施し、2005年、世界初となる生体ドナー膵島移植に成功することができました。2005年、日本学術振興会特別研究員(SPD)、2006年、名古屋大学医学部先端医療バイオロボティクス学寄附講座助手、講師を歴任後、2007年、アメリカ・ベイラー大学附属機関であるベイラー研究所にて指導医(Associate Investigator)として臨床膵島移植、膵島再生研究に従事することとなりました。2009年、同研究所の膵島再生部門のDirectorに昇進し、2011年に日本に帰国するまでの4年間で100例以上のヒト膵島分離に携わり、論文発表も70本以上発表することができました。日本に帰国後、京都大学、大阪大学、国立病院機構千葉東病院の臨床膵島移植に携わり、2013年に日本初となる、脳死ドナーからの膵島移植を京都大学で実施することができました。これらの実績・業績を評価していただき、2014年8月に琉球大学再生医学講座の教授に就任することとなりました。現在でも、京都大学、大阪大学、国立病院機構千葉東病院、信州大学の臨床膵島移植に携わるとともに、横浜市立大学客員教授、NPO先端医療推進機構理事などを兼任し、再生医療の研究をつづけています。

現在、琉球大学では産学官連携プロジェクトとして再生医療・細胞治療を行うための整備を行っています。琉球大学医学部が再生医療中核拠点および細胞供給役として働き、産学民共同利用が可能である「再生医療研究センター」を琉球大学医学部内に設立し、細胞調整室の培養・解析機器等の整備を行うことで、再生医療関連企業との共同研究を推進する予定となっております。私はそのプロジェクトに業務管理者として携わっております。琉球大学で多くの細胞治療が行えるよう体制を築いていくとともに、基礎研究の臨床応用化を目指した「橋渡し研究」に力を注いでいきたいと思っております。