「ラオス国での医療援助活動体験学習による医学生の人材育成支援事業」を実施

琉球大学医学部歯科口腔外科の砂川教授らは、平成13年からラオスでの口唇口蓋裂患者に対する無料巡回診療(手術)を行うと共に、平成21年から「ラオス国での医療援助活動体験学習による医学生の人材育成支援事業」にも取り組んでいます。

【ラオス国での医療援助活動】
佐藤良也医学部長らが平成4年に公衆衛生プロジェクトで訪れたことでラオスとの関係が始まりました。琉球大学とラオスの関係がある中で、日本口唇口蓋裂協会からの要請に応え平成13年から実施しています。約2週間ラオスへ行き、日本の支援で建てられたセタティラート病院にて患者さんに無料で手術を行ったり、現地医師に技術指導を行っております。セタティラート病院はもともと、フィリピンが作ったビエンチャン市立病院をJICAと琉大が協力し、改善して出来た病院です。

セタティラート病院にて

【体験学習について】
経済的あるいは他の諸問題から未手術のまま多くの口唇裂や口蓋裂患者が苦しんでいるラオス国で佐藤医学部長らは、平成22年12月21日~12月24日、地域枠の学生7名と地域医療を志す4年次学生3名、6年次学生1名がラオスに帯同し、教育省、保健省、国立ラオス大学、ラオス健康科学大学などを訪れ、現地学生との交流やセタティラート病院での口唇口蓋裂手術見学などの2回目の体験学習を行いました。
4年次、6年次は現地で手術等の手伝いをし、1年次は手術の見学や現地大学生との交流を行いました。この体験学習の大きな特徴の1つはメディカルスチューデントとの交流です。参加した学生は、「ラオスは日本よりも、英語の会話力に優れていることに驚いた」「ラオスの医学生は、立派な医療人になるという意識の高さや勉強することへの意欲の大きさを感じた」そうです。
もう一つは、術前術後の口唇口蓋裂を持つご両親の心の変化を体験出来ることです。不安そうに赤ちゃんを抱えていたお母さんが術後に安堵に満ちた表情に変化していく現場を見てもらい、医療を受けることが患者家族に対してどういう影響を与えるかということを実際に学習できます。
さらに、十分な環境ではない施設でベストな医療をどう目指すか、という視点を持つことです。琉球大学医学部附属病院の手術場とラオスの病院の手術場とでは、設備も違えば、人的資源も全然違います。全身麻酔をかけるのに、日本では胸部写真や血液検査、心電図等があり、機械もスタッフも全て揃っている中で手術が行われますが、それらがないラオスで手術を行う場合、機械やスタッフが揃っていないから手術が出来ない、ではなくて、それに変わるものは何か、どうすれば最善の医療を提供できるかという工夫を学んでもらいたいと思います。

国立ラオス大学附属小学校にて

【口唇口蓋裂問題について】
口唇裂とは、上唇が生まれつき裂けている状態で、完全口唇裂、不完全口唇裂があり片側性、両側性に分けられます。口蓋裂は、外見上は何の問題もなく、上あごが生まれつき裂けている状態です。食べる、しゃべるという機能が劣り、日常生活に支障がでる他、子どもの精神発達に深刻な影響を与えたり、社会的差別を受ける場合も多いと聞いております。
ラオス国での口唇口蓋裂患者の問題として、周産期医療や生命の維持に関わる医療が最重視され、死をもたらせるものではない口唇口蓋裂は緊急性がなく放置されることがあります。また、日本では、乳児のうちに手術を行いますが、国の経済力が弱く、口唇口蓋裂で苦しむ患者さんの治療費用が充分でないという問題や専門医が1~2人と医療体制や技術が整っていないため、手術されないまま成人するケースが多い他、裕福な患者はタイやシンガポール、マレーシアに行き手術を受けるという現実があります。

【将来的な活動】
口唇口蓋裂の治療では、将来的には歯並びの問題等成人するまでに治療が必要な問題が出てくるので、矯正が必要であれば矯正し、噛み合わせが悪く手術が必要であれば手術もします。生後3ヶ月~4ヶ月で口唇形成術を、1歳半で口蓋形成術を行います。成長の過程で様々な問題が起きてくるので、それらを解決するために成人するまでに一環治療を行います。現在、ラオスでは一貫治療が出来る体制は整っていないので、将来、ラオスに一貫治療そのものを技術移転させたいと考えています。
また、こうした医療援助活動を学生に体験させ、医療界が抱えるこれらの問題について医療人としての問題意識を持つ機会を与えることで沖縄の地域医療に貢献出来る人材を育成していくことに寄与します。

国立ラオス大学玄関前にて 国立ラオス健康科学大学にて

体験学習参加学生レポート

1年次 東江志月 大山恵理子 嘉数尚子 久田由希子 具志堅愛夏 小山倫子 日暮悠璃
4年次 座間味優 島村有希子 千葉卓
6年次 泉絢子