新任教授のご紹介~大学院医学研究科感染免疫制御学講座 新川武教授~

 

感染免疫制御学講座 新川教授平成27年4月に医学研究科感染免疫制御学講座の教授に赴任した新川武と申します。

本講座は、英語名を「Laboratory of Vaccinology and Vaccine Immunology」といい、LVVIではワクチンとそれにかかわる免疫学的な研究を進めています。私は留学先の大学院に在籍しているころからずっと感染症ワクチンについて研究してきました。当初は医学研究科の課題としては珍しかった植物を利用して医薬品開発を目指すラボの大学院生でした。ジャガイモやバナナなどの農作物にワクチンとなる遺伝子を導入することで、ワクチンを生産させるという研究でした。直ぐに実用化されるとは思っていませんでしたが、その当時、テーマとして斬新だったこともあり、そこで博士論文を書くことに決めました。その後もこの類の研究は進められていて、今ではイネでワクチン抗原を生産する技術も確立されてきています。

 

大学院終了後、琉球大学医学部寄生虫学講座の助手に採用されてからは、マラリアワクチンの研究に携わりました。マラリアワクチンは難しい課題ですが、すごく大事な仕事だと思い、国内外の共同研究者と一緒に課題に着手しました。医学部から熱帯生物圏研究センターに異動してからは、動物用ワクチン開発にも力を入れました。病原体の種類にかかわらず、ウイルス、細菌の毒素、寄生虫などに対するワクチン開発を今も進めています。一般的にワクチンというと医学領域を思い浮かべるでしょうが、実は獣医学や畜産領域でのワクチンの需要は非常に大きいというのが特徴です。例えば、家畜の病気を防ぐためにたくさんの抗生物質が使われますが、その使用量をワクチンによって減らすことができますから、消費者にもメリットがあります。また、純粋にワクチン学的にも面白いテーマがたくさんあり、人のワクチンよりも早く結果を見ることができますし、人と動物とで共通する病原体が多く存在しますので、人のワクチンを開発する際、重要なヒントになります。例えば、SARSと言えば多くの人が聞いたことがあると思いますが、同類のウイルスが豚や鶏でも重要な病原体として知られていますし、O157大腸菌感染症も同類の菌が豚で重要な病気を引きおこします。また、デングや日本脳炎もよく知られていますが、同じ種類のウイルスが牛や豚にも感染し、経済的な打撃を与えます。しかし、これらの多くの病気に対し、未だワクチンが存在しません。ワクチン開発の需要は、未だワクチンが存在しない病気に対するワクチンを開発することやワクチンは存在するが、その改良が求められているものなど、多岐にわたります。

私たちLVVIは、人や動物を感染から守る重要な手段としてワクチンがあると信じ、その開発に取り組みます。LVVIのモットーは、病原体から嫌われ恐れられるラボです。