新任教授のご紹介~大学院医学研究科細菌学講座 山城哲教授~

Tetsu Yamashiro

 はじめまして。平成28年4月1日付で医学研究科細菌学講座の教授として赴任してまいりました、山城哲と申します。沖縄県立那覇高等学校の出身で、琉球大学医学部を第二期で卒業いたしました。学生時代は熱帯医学研究会(熱医研)というサークルを同級生と共に立ち上げ、フィリピンのサンラザロ病院を見学し、タイのチェンマイ大学の医学生と交流を持ちました。熱医研は今でも受け継がれており、学生部員が40人前後、全国に散らばるOB会員を含めると200人に達するようです。感染症に携わる方々が多い事もあって仕事の面でも助けられております。普段はメーリングリストでのやり取りが多いのですが、数年に一度顔を合わせる機会があります。前回は熱医研設立30周年のお祝いを行い、全国から80人程が参加いたしました。平成28年4月14日、16日と甚大な被害をもたらした熊本地震でも、被災地で懸命に診療を続ける熱医研OBが状況を報告してくれました。また沖縄県内からD-MATとして被災地に向かった方々の中にも熱医研OBの医師が入っておりました。琉球大学医学部の学生サークルから始まったこのつながりは私にとって大きな財産です。

卒業後は琉球大学第一内科の大学院で斎藤厚教授の下、口腔内の常在菌が市中肺炎の原因となる仮説を検証いたしました。その後細菌学の岩永正明教授の下、細菌学の基礎をみっちり叩き込まれ、コレラ菌の定着因子の研究や熱帯諸国の下痢症起炎細菌の疫学研究を指導いただきました。1998年から2年間、米国NIHのNIAIDという感染症研究所で勉強する機会がありました。ボスはチン・ジュ・ライと言い、制限酵素の発見に携わった方でした。そこで、当時は目新しかったファージディスプレイという手法を用いてヒト型抗体の作成を試み、デングウイルスの治療や予防製剤の上梓にチャレンジいたしました。大分大学医学部を経て前任地の長崎大学熱帯医学研究所に約10年間お世話になりました。主に文部科学省委託のベトナム拠点プログラム(J-GRID)に携わりましたが、2010年からは熱帯医学研究所教授として熱帯感染症の最前線で下痢症やインフルエンザウイルスの疫学研究を大学院生と共に行いました。

現在は主に下痢症の疫学研究およびコレラ菌の病原因子の解析を行っております。北部ベトナムに住民基盤の疫学フィールドを持っており、興味のある方には様々な目的で活用していただきたいと思っております。博士課程大学院生には、実験分析的手法というミクロの視点、および沖縄県内や東南アジア地域における疫学解析的手法というマクロの視点からの研究をそれぞれできるよう指導したいと思っております。また学部学生には医師として理解すべき医学細菌学の教授はもちろんですが、同時に細菌学の魅力を伝えていきたいと考えています。かつて東アジアの大航海時代に密接な関係があったとされる沖縄、長崎、そしてベトナム。それぞれに関わりを持つ事ができた経験を、学生教育の隠し味として活かしていくことができたら幸いです。