教育における特色

医学教育(医学教育企画室)

医学教育企画室は、質の高い医療人の育成および沖縄県の医療水準向上のために、学生指導や臨床実習の企画・実施など医学教育全般に係る業務を遂行しています。室長(併任)の他、専任教員2名と事務職員4名に加えて、15名程度の企画室員(併任)によって構成されています。臨床実習以外に、医療現場におけるコミュニケーション能力や初歩的診察能力の修得を目的として、医学科と保健学科合同でのシミュレーション演習を1年次に開講しています。加えて将来のキャリア・パスについて考える医学概論、チーム基盤型学習(TBL)形式でのチュートリアル学習、患者・家族と直接に接触する各種実習[外来患者付添い実習、体験学習(療養型施設・沖縄愛楽園訪問見学実習)、離島地域病院実習、離島診療所及び海外の大学病院での参加型臨床実習]も担当しています。また学務課と協力して、医学科4年次対象の共用試験(CBT・OSCE)、医学科6年次対象の臨床実習後OSCE(Post-CC OSCE)の実施にも関わっています。日々医学部生と向き合い、学習支援・修学相談等も行い、本学が国際基準に適合した医学教育を提供できるように努めています。

長寿県沖縄の島嶼地域医療人材養長寿県沖縄の島嶼地域医療人材養成(保健学科)

保健学科は国際的視点をもつ地域貢献の人材育成、また沖縄の地域を理解した国際貢献できる人材育成というグローカルな人材育成を行っています。看護師、保健師、助産師、養護教諭を養成する看護コースと臨床検査技師、健康食品管理士を養成する検査技術コースからなります。離島を含めた僻地保健医療、高齢化社会、特有の風土病対策、子供の貧困と母子保健、増加する観光客と移住による外国人といった沖縄県の抱える様々な健康課題を理解し対応できる人材を育成しています。学生は経験豊かな教員陣から広範囲な知識を得る一方、早い時期から地域医療機関での実習を行うことで、高い実践力を養い、地域に根付いた医療が出来るよう実力を蓄えていきます。講義と琉球大学病院の実習だけでなく、地域の病院や保健関係施設での研修を積極的にカリキュラムに導入し、地域貢献の視点をやしなっています。さらに貧困問題・高齢化社会・地球温暖化など同様な課題を書けた東南アジアや太平洋島嶼地域の国々との交流を経て、異文化理解やグローバルな視点から地域問題を考えていく力を養います。

アジア・太平洋地域との学術交流(保健学研究科)

保健学研究科は、人間健康開発学と国際島嶼保健学の2領域で構成されており、沖縄県の社会文化的環境および亜熱帯性自然環境を基盤とした健康・長寿の維持増進および再生に資する研究や、健康資源の解明に関する研究、アジア・太平洋地域の島嶼・僻地・地域保健の課題とその対策に関する研究などのユニークなテーマに取り組んでいます。この2つの領域は互いに融合し、亜熱帯性自然環境を基盤とした研究から得られた成果は、アジア・太平洋・アフリカ諸国での保健医療の増進に寄与するだけでなく、沖縄における異文化理解の力をもった保健医療者としての人材の育成にも貢献しています。

また英語コースによる特別プログラム:Okinawa Global Health Science Programをもつことから、フィリピン、ラオス、インドネシア、中国から多数の留学生を受け入れてきています。この受け入れにはアジア・太平洋諸国の多数の研究機関と交流協定を締結し、共同研究を推進するなかで実現しています。留学生だけでなく日本人大学院生の積極的参加をはかることによって相互学習の環境が整っています。保健学研究科修了生は、各国保健医療機関、WHOなどで施策に携わるなど、グローバルヘルスの分野で活躍しています。

医学研究科・保健学研究科

医学研究科は、近年の医学・医療のダイナミックな変化や社会的なニーズに対応できる自己改新力と生涯持続力を持った優れた人材を育成することを目的としています。博士課程では、健康長寿や新興感染症問題等の沖縄の地域に根ざした問題やES細胞・iPS細胞の確立により近年著しく進歩している再生・発生分野の研究等、研究プロジェクトに対応したコースワーク・リサーチワークを編成しました。修士課程では、この新しい教育課程を取り入れ、博士課程と連携した体系的な教育プログラムを提供しています。

保健学研究科は、1986年に国立大学2番目の保健学専攻の大学院として設置された伝統ある研究科で、数多くの優れた人材を輩出して沖縄県の公衆衛生の向上、保健医療の発展のために多大な貢献をしてきました。2007年に博士課程を設置し、現在の保健学研究科保健学専攻博士前期課程・博士後期課程となりました。本研究科は、心身ともに豊かな健康・長寿に資する高度な研究能力を有する保健学分野の研究者および指導者を養成することを目指しています。修了生からは保健医療機関、行政のリーダーだけでなく、研究や教育に携わる大学教員も数多く輩出しています。

臨床教育(琉球大学病院)

琉球大学病院では「病める人の立場に立った、質の高い医療を提供するとともに、地域・社会に貢献する優れた医療人を育成する。」という理念に基づき、“高い人間性”を持ち患者本位の質の高い医療を提供できる医療人の養成、”高い専門性“や”豊富な知識“に基づく総合力を発揮し先進医療の開発・推進を担う人材の養成に努めています。

沖縄県の医療者育成は全国でも非常に高い評価を受けており、附属病院はその中で中心的な役割を果たしています。医師では、医学部学生には医学教育企画室を中心に臨床実習やクリニカルクラークシップが実践されており、初期研修医に対しては琉球大学病院臨床研修センターによるRyuMIC初期臨床研修プログラムの運営、そして琉球大学病院キャリア形成支援センターは専門医を目指す専門専攻医への琉球大学病院専門研修プログラムの運用のみならずFD企画や復職支援がなされています。琉球大学病院では、地域医療に配慮した多彩な研修プログラムに加え、熱意ある指導者のもと屋根瓦式の教育体制がとられています。また、大学内に設置された全国有数のシミュレーションセンターを用いた研修も教育の質の向上に寄与しています。同時に、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、リハビリセラピスト、ME技師など、多くの医療職種の教育・研修(琉球大学病院キャリア形成支援センターがサポート)も計画的に実施し、より質の高い医療をチーム医療で実践していけるように努めています。これからの教育は、人材育成だけに留まらず、地域医療の充実、臨床研究の推進、さらに「医療の安全のさらなる向上」に大きく寄与しています。

シミュレーション教育(附属病院)おきなわクリニカルシミュレーションセンター

おきなわクリニカルシミュレーションセンターは、沖縄県の寄付により平成24年3月に琉球大学医学部構内に開設された医療シミュレーション教育施設です。模擬環境を活用することで、医療現場での実践前に手技に習熟する、突発事態への対応とチームワークを予め練習しておくといったトレーニングを通じて、沖縄県内の医療水準の向上に貢献しています。特に医療安全の確保は病院の最も重要な役割のひとつであり、注力しているところです。

本学の医学部学生の実技演習に加え、当施設の事業として沖縄県内の研修医向けの教育企画シリーズ、シミュレーション教育指導者向けのセミナー、県内小中高校生向けの医療者体験イベントなどを開催しています。また、県内の医療教育機関および医療機関に幅広くご利用いただいています。

開設から8年を経て、年間およそ延べ1万5〜8千人の利用があり、当施設でシミュレーション教育の技能を習得した指導者が県内全域で活躍しています。今後さらに多くの方々に活用していただけるように改善を進めたいと思います。

各種情報については、http://okinawa-clinical-sim.org/ をご参照ください。