微生物学・腫瘍学

沖縄に感染者の多いHTLV-1を始めとして、ヘルペスウイルス科(EBウイルス、カポジ肉腫関連ウイルス、単純ヘルペスウイルス)とフラビウイルス科(C型肝炎ウイルス)のウイルスを主に扱っています。その他に、細菌(ヘリコバクター・ピロリやレジオネラ)も研究対象としています。研究内容はこれら病原微生物の発がん機構や炎症誘導機構の解析です。さらに、感染症とは関連のない白血病や悪性リンパ腫、骨肉腫などの発症と浸潤・転移の機構も研究しています。病原微生物の病原因子と宿主細胞の応答機構(シグナル伝達経路)の解析を通して得た知見を基に、新規治療薬や発症予防薬の開発も行っています。特に発症予防に関しては沖縄の天然物質(植物や海産物)の応用に注目しています。

細菌学

研究内容 山城 哲

「ベトナムに於ける下痢症の研究」
ベトナムにおいて、農村コミュニティを基盤とした全年齢層に渡る前向きの下痢症疫学研究を行う。軽症‐重症下痢症例を含み、下痢原性細菌、胃腸炎ウイルス、下痢原性原虫を標的とした広範な下痢原性微生物の検出を試みる。ベトナム農村部では、ヒトと家畜との生活環が重なり、人獣共通下痢症が発生する土壌があるため、ウシ、ブタ、家禽等の糞便からも下痢原性微生物の検出を試み、人獣間における伝播の実態を分子疫学的に解明する。ベトナムでは様々な起炎微生物により下痢が起こる。下痢によりどのように腸内細菌叢が攪乱されまた回復していくかを各種下痢原性微生物において解明する。気候・文化の異なる北部、中部、南部ベトナムに拠点を置き、ベトナム全土を網羅して下痢症の外部環境および内部環境を踏まえた全容の解明を試みる。

“Comparative genomic analysis of CTXΦ region of Vibrio cholerae pathogenic strains isolated in Asia in 1946-1992”
Vibrio cholerae serogroup O1 and O139 have potential to cause outbreaks and have been reported to cause 6 pandemics. One of the most important pathogenic regions of V. cholerae is CTXΦ that carries cholera toxin (CT) gene and several relevant genes. The CTXΦ region has been believed to consist of one copy each of RS2 satellite phage portion and CTX core portion, however, a recent paper indicated that the CTXΦ region seems to be a wide variety in structure. Comparative genomic analysis was made in order to determine the structure of the CTXΦ region of V. cholera pathogenic strains isolated in several areas of Asia in 1946-1992. Fifty V. cholera strains, consisting of 12 serogroup O1 biotype classical strains, of 27 O1 biotype El Tor strains, and of 11 serogroup O139 strains, were used in the study. Both O1 classical and El Tor strains were isolated in Asia including Japan, in the period of 1946-1992 for classical strains, in 1956-1962 for El Tor strains, and in 1992 for serogroup O139 strains. Southern blotting was made to estimate the copy number of the CTXΦ core, and PCR was made to complement results obtained by southern blotting, and categorized into several groups to choose a strain representing each group. A PCR was conducted to amplify the CTXΦ region on both chromosome 1 or 2. In order to estimate the structure of the CTXΦ region of each representative strain, Sanger sequencing, PCR with combination of gene specific primer sets were performed. Next Generation Sequencing (NGS) (HiSeq) was performed to enrich data. Data was analyzed by CLC and Vector NTI software.

 

 

研究内容 トーマ クラウディア

「病原性レプトスピラの発症と持続感染のメカニズムの解明」
病原性レプトスピラは多くの哺乳動物に感染し、腎尿細管で増殖し尿中へと排出される。ヒトは、この尿との直接的な接触、あるいは尿に汚染された水や土壌との接触により感染する。沖縄県での患者発生は他県に比べて多く、河川でのレジャー等により集団発生が起きており、本県の生命線である観光産業へ大きく影響するものとして懸念されている。

細菌学講座では本菌の病原因子の同定とその機能解析を行い、レプトスピラ症に対するワクチン開発や迅速診断法の開発の手がかりとなる基礎的知見の確立を目指す。これまでに、自然免疫系細胞のマクロファージ機能に着目し、病原性レプトスピラがマクロファージに貪食後、ファゴソーム内で生存できることを明らかにした(図)。現在、レプトスピラの研究が多方面に発展しており、トランスポゾン挿入変異体ライブラリーを用いた解析、DNAマイクロアレイを用いた解析やマウス感染モデルを用いた腎臓持続感染機構の解析を行っている。

ファゴソーム内で生存できるレプトスピラの電子顕微鏡像

ファゴソーム内で生存できるレプトスピラの電子顕微鏡像

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寄生虫・免疫病因病態学

○研究の内容

当講座では、免疫システムに基づいた様々な研究を行っています。
1)刻一刻と変化する寄生虫を含む病原体に対する免疫応答を個体・細胞・分子・遺伝子レベルで解析し、免疫系が構築する「記憶」の分子メカニズムを明らかにする事を目指しています。
2)免疫系における「自己」を規定する分子メカニズムの解明に挑戦しています。
3)がんに対する新規免疫療法や移植片拒絶を抑制する療法の開発などの基礎医学での知見を臨床に応用するトランスレーショナル・リサーチも積極的に行っています。
4)医・工・理・芸・心理学と異分野(分化)横断する研究者達と生命現象を「可視化・認識」する基盤技術の構築を試みています。

○講座のアピールポイント

免疫や感染防御の基礎研究や、常に臨床治験を目指したトランスレーショナル・リサーチ、生命科学と関係のない材料・情報工学を巻き込んだ基盤技術開発など誰でもその人の特性に合うような研究プロジェクトを行っています。

皮膚科学

沖縄県に根差した皮膚病の診療と治療、研究をモットーとしています。皮膚病の診療や治療では、全国水準の治療を沖縄県の地元で受けることができるように卒後教育を行っています。現在、皮膚科学会専門医やアレルギー学会専門医、医真菌専門医を多く輩出し、地域医療へ広く貢献しています。
研究分野では、実際の皮膚病の診療現場から生じた問題点の解決を目標にしています。特に沖縄県・琉球諸島に多い皮膚病にスポットをあてて研究しています。また角化症の病態解明と創薬・新規診断法の開発、皮膚老化への挑戦、ヒトの進化と皮膚の進化など、皮膚科医学から、さらには基礎生物学での研究も続けております。沖縄県に多くみられる遺伝性皮膚症の病態解析のためゲノム遺伝子解析と遺伝子発現解析を組み合わせ、実臨床に使用しやすい疾患マーカーの検出系の確立や治療標的の同定を行っています。

感染症・呼吸器・消化器内科学

生体防御学(協力)

私たちの研究室は、感染症に対する免疫・生体防御反応の解明と、その情報に基づくワクチンの開発を研究の中心課題として研究活動を行っています。
感染症は、抗生物質などの発達により解決間近な問題と楽観視された時期もありましたが、その後の多剤耐性菌の出現、免疫不全症(AIDSなど)の増加、高齢者などの免疫能の低下した患者さんの増加、などに伴い、現在でも健康問題として重要であることが再認識されています。また、新たに出現した感染症(新興感染症、AIDS、新型インフルエンザなど)、以前から知られていた感染症の増加(再興感染症、結核、マラリアなど)が健康上の大問題として、WHOなどでも取り上げられています。
私たちは、これらの感染症に対する免疫・生体防御反応の解明、並びにワクチンなどによる感染の制御法の開発を目標に研究を進めています。免疫系は、病原体を認識して排除するシステムであり、白血球がその中心的な役割を担っています。この免疫系には複数の発現様式がありますが、病原体が排除されるためには適切な免疫系の作用が発揮される必要があます。病原体、特に結核菌などの細胞内に寄生する病原体に対する防御免疫応答の発現とその制御メカニズムを解明することが私たちの第一の研究課題です。さらに、この情報を活用して、病原体を有効に排除できるワクチンおよび免疫治療法を開発することが第二の研究課題になります。私たちは、これらの研究を通じて感染症撲滅に貢献したいと考えています。

感染免疫制御学(協力)

感染免疫制御学講座は、英語名を「Laboratory of Vaccinology and Vaccine Immunology (LVVI)」と言い、ワクチン学を基本とした遺伝子組換えワクチンおよびアジュバント開発、そして、これらに関連した免疫学的研究(作用機序解明等)を手がける研究室です。琉球大学大学院医学研究科の一講座(協力講座)ですが、研究室自体は千原キャンパスにある熱帯生物圏研究センター(熱生研)(http://www.tbc.u-ryukyu.ac.jp/ja/:文部科学省認定の全国共同利用・共同研究拠点)附属の一施設である分子生命科学研究施設(分生研)内に設置されています。分生研の前身は、全国の国立大学に設置された遺伝子実験施設ですので、もともと遺伝子研究のための施設として遺伝子組換え実験を推進する機器や設備が整っています。そこに感染症の研究者が加わり、さらに、旧熱生研と分生研とが統合して新しい熱生研となりました。この新しい熱生研には、熱帯生物資源の研究者も配属されていることから、LVVIでは遺伝子組換えタンパク質性のワクチン研究開発と同時に、現代のワクチン開発には欠かせないアジュバント開発のための生物資源探索も進めています。

 我々LVVIは、「ワクチンとアジュバント」のラボです。

ウイルス学

感染症の原因となる病原微生物は大きく寄生虫・細菌・ウイルスに分けられます。このうちのウイルスを私たちは研究対象としています。ウイルスは自分自身では増殖できず、生きた細胞をうまくハイジャックできた場合だけ増殖できるという特徴があります。私たちの周囲は多種多様のウイルスであふれていますが、ヒトに病気を起こすウイルスはほんの一握りしかありません。一握りといっても数百種類はあり、ウイルスの性状・伝達様式・感染する臓器・感染経過・重症度は実に様々です。これらのうち、当研究室ではヘルペスウイルスとフラビウイルスの病気のメカニズムの解明と制御を目標に様々な研究を行っています。

私たちの研究室では大学院生を募集しています。やる気、根気、元気があればバックグラウンドは問いません。ウイルスに興味のある方は是非ご連絡ください。

臨床研究教育管理学

現在のキャリアを継続しながら、基本的な臨床研究スキルに加え、 現実の診療の中でどのように研究チームを立ち上げ、信頼性の確保や患者さんの保護を効率的かつ 現実的に行うかといった、質の高い臨床研究の「マネジメント能力」の習得を目標とします。 そのために仮説・デザイン・統計解析等を体系的に習得し、臨床的疑問を解決する、 真の臨床研究の計画を作成し、実際に研究チームを立ち上げて実践しながら学びます。